スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.41 平峰一貴さん

 ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はGAINERの富田竜一郎選手から、TEAM IMPULの平峰一貴選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。

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 この時期は筆者のキャパも完全にフローしておりまして(超言い訳)、前回の富田選手の回からけっこう時間が空いてしまいましたが……。編集長からは継続命令も出ているので、2023年も少しずつペースを上げていきます。前回の富田選手から出た「モチベーションが保ちにくくなっている」というお悩みに対して、2022年GT500チャンピオンの平峰選手はどう答えてくれるでしょうか?

 ではどうぞ!

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■助けてくれた人たちのために本気で頑張りたい

──そんなこんなで、オートスポーツwebで『お悩み相談ショッキング』なるコーナーをやってまして、あるドライバーから次のドライバーにお悩みを繋いでもらうというコーナーなんですが、ご覧になったことあります?
平峰一貴さん(以下平峰さん):……ごめんなさい。全然知らなかったです(苦笑)。

──ですよね〜。今回は、富田竜一郎さんからお悩みが回ってきたので、ちょっと相談に乗ってあげて欲しいんですよ。最近レースに対するモチベーションがちょっと保ちづらくなっているそうで。
平峰さん:富田君がですか!? 全然そんな風に見えないですけど。

──でしょ? いろんなまわりの環境のなかで、チームのためや若手を成長させたい……といった目的があれば頑張れるらしいのですが、“自分のため”みたいな気持ちがあまり湧いてこないそうで。
平峰さん:それはそれでカッコいいじゃないですか。

──平峰君はけっこうモチベーション高めに見えるのでご指名があったわけですよ。もともとホンダの育成出身で、JLOCからニッサンに行って……というキャリアだと思うんですが、そのなかでモチベーションを保ちづらくなることなどなかったですか?
平峰さん:なかったですねぇ。僕は個人的な目標としてGT500に上がって、チャンピオンになるというターゲットがあったのですが、僕はすごく人に恵まれているんです。なんというか、どん底の頃から助けてくれた人たちが何人かいます。その人たちは僕にとってキーパーソンなんですが、その人たちのためならば『命張っても戦ってやる』というモチベーションが僕にはあります。

──なるほど。どちらかというと自分のためでもあり、その人たちのためでもあると。
平峰さん:はい。助けてくれてチャンスを下さった方たちですし、頑張っていれば『来年も契約したい』と言ってくれる人たちが集まってきてくれるんです。中には軽く言ってくる人もいるんですが、レースも人と人との繋がりですからね。自分にとってこの人はすごく大切な方だな……ということを自分なりに見極めて、自分を必要としてくれるんだと感じられる人、本気で語ってくれている人のために僕は本気で頑張りたいと思っています。

2019年の平峰一貴と近藤真彦監督
2018年のマルコ・マペッリと平峰一貴、JLOC則竹会長
2022スーパーGT第8戦もてぎ GT500クラスのチャンピオンを獲得したカルソニック IMPUL Zの星野一樹/ベルトラン・バゲット/星野一義監督/平峰一貴

■悩む必要ないと思うんですけど

──最終的にそれがGT500チャンピオンに繋がっているわけですから、すごい話ですな。
平峰さん:それこそ、スーパー耐久時代の兵頭さん(TRACY SPORTS兵頭信一代表)、JLOCの則竹功雄会長、KONDO Racingではマッチさん(近藤真彦監督)、今のTEAM IMPULの星野一義総監督、そういった皆さんにお世話になっていますし、今まで支えてくださったスポンサーの方々など、皆さん芯が強い人たちなので、そういった方々のために自分ができる限り思いきり戦いたいと思っています。

──さらに言うと、そういう人たちって、自分を成長させてくれる存在でもあるよね。
平峰さん:そうなんですよ! ホントにすごいのは、大きな会社の社長さんや星野総監督、近藤監督、則竹会長と皆さんそうなんですが、僕に言ってくれるひと言ひと言にすごく重みがあるんです。そして胸に突き刺さるんですよね。

──んん! 分かる。
平峰さん:ありますよね。同じようなことをいろんな人たちに言われていても『マジか。この人の言葉は刺さるな〜!』という方たちに巡り会えているので、それが僕のモチベーションかもしれませんね。

──では富田さんはどうしたもんでしょうねぇ。
平峰さん:富田君は速いんだから、悩む必要ないと思うんですけどねぇ。言ってるだけで本人そんな思ってないですよ(笑)。富田君速いから大丈夫ですって。何に乗っても速いですし、それが富田君の凄まじい武器だと思うんですよねぇ。それに『この人のためなら思いきりやってやる』という人に巡り会っていると思いますし、これからもそういう人たちが現れると思うので、頑張って欲しいです。

──それこそ『ファンの皆さんのため』でもいいと思うしね。
平峰さん:そうですよね。僕もGT300から上がるくらいまでは、ファンの皆さんのことはあまり考えていなかったです。それよりも目の前のシートと走ることに対して、それに今まで支えてくれた方のために必死でしたけど、今はそこまで多くないかもしれませんが、ファンの皆さんもすごくモチベーションになります。大丈夫ですよ富田君。今のままで十分っすよ。

2022年スーパーGT第8戦もてぎでの平峰一貴選手と星野一義監督

■僕に似合うTシャツ教えて

──そんなわけでこのコーナーでは、次のドライバーに悩みをぶつけて欲しいんですよ。
平峰さん:悩みか〜。これ、スーパーGTに乗っている人なら誰でもいいんですか?

──いいですよ。ちなみに今まで出た人はこんな感じ(一覧を見てもらいました)。
平峰さん:なるほど〜。でもけっこう意外な人も多いですね。んん〜。

──気にせず仲が良い人でもいいですよ。
平峰さん:どうしようかな。これ、質問でもいいですか? ……えっと、佐藤公哉にします。

──おお〜。いいじゃないですか。
平峰さん:公哉と山内英輝くんと僕は、小さい頃からずっとカートで一緒だったんですよ。実は公哉の面白いエピソードがあるんですよ。

──ほほう。
平峰さん:公哉、すごくユニークじゃないですか。髪の色とか、着てるシャツとか面白いですし。

2022年スーパーGT第2戦富士での佐藤公哉

──そうだねぇ。
平峰さん:ある日、家の前で洗車していたらしいんですよ。そうしたら、ふたりの女性が近づいてきて、本を渡されたらしいんですよ。要は宗教のお誘いだったらしいんですけど。

──なんと。
平峰さん:その時公哉、着てたTシャツに『神』って書いてあったらしいんですよ。面白くないですか?

──(笑)。続きは本人に聞いておく。
平峰さん:公哉はすごいと思うんですよ。メンタルも強いですし。で、公哉に質問なんですが、僕に何か似合う言葉が入っているTシャツを教えて欲しいんですよ。アイツいっぱいそういうTシャツ持ってるじゃないですか。

──『それどこで買った!?』ってTシャツめちゃ持ってるよね。
平峰さん:そうなんですよ! だから僕に合う言葉を教えてほしいです。『泥沼』とかでもいいですし(笑)。

──分かった。じゃあそれでいこう(笑)。
平峰さん:いいっすかね(笑)。ホント公哉は最強なんですよ。面白いですよね!

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 というわけで、次回は今季もMax Racingから参戦することになった佐藤公哉選手です。先日取材しておいたのですが、まあ公哉選手らしい内容になるかと思います(笑)。ではまた次回!

カーナンバー1をつけ鈴鹿メーカーテストを走行したTEAM IMPULのニッサンZ GT500

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