「二三雲」ジンのラベルに 五島つばき蒸溜所がコラボ 山本二三さん作画6種類、順次発売へ

山本さんが手がけた「半泊の海から」(手前)などのラベル用絵画

 長崎県五島市半泊地区でクラフトジン「ゴトジン」を製造販売している「五島つばき蒸溜(じょうりゅう)所」が、同市出身のアニメーション映画美術家の山本二三さん(69)とコラボした新商品を発売した。美しい空や雲がテーマのシリーズ「空よ雲よ」の6種類をラベルにして、味もそれぞれ異なる。山本さんは「五島のツバキの歴史や文化、人の優しさ、癒やしを感じる味になると良いなと思い描いた」と話している。

 山本さんはジブリアニメなどの背景画を手がけ、迫力ある独特の雲は「二三雲」と呼ばれている。蒸留所は、代表の門田邦彦さん(51)ら3人が昨年12月に開業。主に五島のツバキの種を使って香り付けしたジンを作っている。
 一昨年春、門田さんが蒸留所の開設場所を探すために五島市を訪れた際、山本二三美術館(武家屋敷2丁目)に立ち寄り、作品に感銘。山本さんにラベルの作画を依頼し、快諾を得た。
 シリーズ「空よ雲よ」は五島の雄大な自然や朝焼け、星空などを伝統的なアニメーション技術を用いて描写。ブレンダー鬼頭英明さん(58)が、各作品からイメージを膨らませ、異なる香味のジンを開発する。山本さんの作画が市販の酒のラベルになるのは初めて。

オンラインで参加した山本さん(中央)と鬼頭さん(右から2人目)ら=五島市役所

 24日、3人が市役所で野口市太郎市長に新商品発売を報告。山本さんはオンラインで参加し、発売中の第1弾「半泊の海から」について、「奥の積乱雲を大きくしたり、小さい島をきれいに見せたりしようとした」と説明。「五島の島々、エメラルドグリーンの海、太古から大切にしてきた魚つき林を描き、(地元の)皆さんの優しさを表現して、ジンの味も良くなっていくと思った」と話した。
 鬼頭さんは、第1弾の素材として半泊に育つ夏ミカンを素材に加え、「山の緑やエメラルドグリーン、白い雲を感じてもらえる味を心がけた」と解説。門田さんは「五島の美しい風景とアロマが結び付いたおいしさを届けたい」と述べた。
 今後、3、5、7、9、11月にもそれぞれ限定千本販売。500ミリリットル、小売価格6600円。
 山本二三美術館は4月9日まで、ラベル用作画を展示する。


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