プラダの御曹司ことベルテッリ、今季後半のWRC復帰を計画。車両はトヨタからフォードに再スイッチ

 ロレンツォ・ベルテッリは、2月9~12日に行われた『ラリー・スウェーデン』に出場した後、今年後半にWRC世界ラリー選手権に復帰することを望んでいる。しかし、“プラダの御曹司”として知られる彼による今季2度目のWRCキャンペーンはトヨタの下ではなく、Mスポーツ・フォードとの再契約によって実現することになりそうだ。

 有名ファッションブランド、プラダの常務執行役員を務めるベルテッリと、イギリスの名門ラリーチームとの関係は10年以上前に遡る。以来、34歳のイタリア人とMスポーツは長きにわたって提携関係にある。

 そんな彼は、今月スウェーデンで行われたWRC第2戦に向けてTOYOTA GAZOO Racing WRTと車両のレンタル契約を結び、プライベーターとして初めてトヨタGRヤリス・ラリー1での参戦を実現させた。しかし、ベルテッリは将来のWRC復帰を見据えるなかで、ふたたびフォード・プーマ・ラリー1のコクピットに戻ることを公言している。

「トヨタと一緒にドライブできたことは、とてもいい経験だった」とベルテッリは語った。

「チャンスがきたからそれを掴みたかったし、彼らから多くのことを学ぶことができた」

「Mスポーツとは違うやり方で物事を行うのは興味深かったよ。 これが良いとか悪いとか言っているのではなく、違っていたという話だ」

「僕はきっとまたMスポーツに戻ってくると思う。Mスポーツのクルマに乗っている僕を見ることになるだろう」

 ビジネスマンとして忙しい日々を送るベルテッリ。彼はラリーのプログラムが仕事のスケジュールに合わせて行われる必要があることを認めた。

「スウェーデンは、僕にとってホリデーだったんだ」と彼は微笑んだ。

「今年はもう少し休暇がある。またWRCに戻れるといいね」

「もちろんイタリアはいつも面白いけど、(アクロポリス・ラリー・)ギリシャも大好きなんだ。ただ今はまだ予定が組めていない」

 フォード・プーマ・ラリー1を駆った2022年ラリー・ニュージーランドで総合7位、GRヤリス・ラリー1で挑んだ先のラリー・スウェーデンでは総合14位でフィニッシュしたベルテッリは、プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載する“新時代”のWRCカーについて、運転が簡単ではないと述べた。

「これらのクルマはドライビングが難しい。前の世代のクルマ(WRカー)の方が簡単だったと思う」とベルテッリ。

「ラリー前のテストでは、(トヨタのドライバーと)かなり近いタイムが出ていた。だがラリーに来ると(タイムが)落ちてしまった。これはきっと、僕のペースノートに関係があるのだろうね」

プライベーターとしてWRCにスポット参戦しているロレンツォ・ベルテッリ
ロレンツォ・ベルテッリは2022年、WRC第11戦ニュージーランドでラリー1カーを初ドライブした。同ラウンドではフォード・プーマ・ラリー1で総合7位入賞を果たす

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