世界文化遺産構成資産の平戸・安満岳 「西禅寺跡の庭園」保全へ説明会 

庭園の保全方法などを説明する永松名誉教授(左から4人目)=平戸市、安満岳

 明治時代初期まで長崎県平戸市の安満岳にあった寺院、西禅寺跡の庭園の現状についての説明会があった。市民団体、中野地区まちづくり運営協議会が、同岳一帯の保全に向けた市民の機運を高めようと企画。庭園研究の第一人者、永松義博・南九州大名誉教授(福岡県久留米市在住)が、庭園は江戸後期、平戸藩主によって整備された可能性が高いことなどを紹介した。
 安満岳は平戸島最高峰で標高536メートル。世界文化遺産「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産、「平戸島の聖地と集落」の要素の一つ。永松名誉教授は2014年、教え子と同園の実測図を作製した。
 永松名誉教授は12日、安満岳中腹にある同市山中町の紙漉(かみすき)の里ふれあい施設で講話。「庭園は自然の地形と湧き水を利用している。約千坪(約3300平方メートル)あり、整備に熱心だった当時の藩主によって1800年代前半に整備されたのではないか。実測で確認したちょうず鉢から、池のそばに庭園を楽しむ建物があっただろう」と説明した。
 山頂付近にある現地では「池を覆うような雑木を切り払った方がいい。配置された石の表情を見せるように」などと助言した。
 資料によると、西禅寺は718年開山。県北の広い範囲に末寺があったが、廃仏毀釈(きしゃく)のため明治初期に廃寺となった。寺一帯は近年管理されず、庭園の池は土砂が流れ込んでほぼ埋まった状態だった。同協議会は同岳の活用を模索する中、庭園の池がカスミサンショウウオの繁殖場所になっていることを確認。昨年12月、池を埋めた土砂を一部取り除く保全作業をした。

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