最終確認は2004年…所有者から寄託の文化財を紛失 川越市立博物館、幕末の大砲の図面 盗難の可能性も

二十四ポンド長銅筒五分一図(小川家文書)=提供

 埼玉県の川越市立博物館は28日、同博物館に寄託されている市指定文化財「小川家文書」のうち、「二十四ポンド長銅筒五分一之図」が所在不明となっている、と発表した。

 同図は和紙に大砲の図面が墨書されたもので、大きさが縦30センチ、横80センチ。外国船来航に備えて幕末に川越藩が幕府からお台場警備を命じられた時に発注された洋式銃砲の図で、当時の様子を伝える貴重な資料となっている。

 資料は1990年、博物館の常設展示資料として川越鋳物師の家柄である小川家から借り受け、2004年以降は寄託資料として博物館が展示や保管を行っていた。04年3月から5月にかけて開かれた企画展に展示した後は、館内で保管していたとみられる。ただ、当時の博物館では資料の管理履歴を作成しておらず、関係者への聞き取りも進めたが詳細は分かっていない。

 18年5月に研究者から閲覧の希望があり、所定の位置に収蔵されていないことが判明。館内の捜索は現在も続いているが、誤って廃棄した可能性のほか、盗難で館外へ持ち出されたことも考えられるため、川越署に遺失物届などを提出するとともに、売られたりして第三者に渡るのを防ごうと、発表したという。同博物館は「館内資料の確認作業を継続し、発見に努めてまいりたい」としている。

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