「感動深まった」 マスク無しの県立高卒業式 気恥ずかしさで着用も【動画】

校歌斉唱を終え、マスクを外す卒業生ら=1日午前11時10分、黒羽高

 新型コロナウイルス禍の中、4年ぶりにマスクの着用が緩和されて迎えた1日の県立高各校の卒業式。お互いの表情が見える晴れの場で、卒業生や保護者は「感動が深まった」と喜んだ。一方、見慣れたマスクを外す気恥ずかしさから着けたまま式に臨む姿もあった。コロナ禍でのさまざまな制限を乗り越え迎えた門出に、卒業生の笑顔が広がった。

 静まった体育館に一列でゆっくりと入場してきた卒業生たち。その口元にマスクはなかった。黒羽高(大田原市)は111人の卒業生全員がマスクなしで式に臨んだ。校歌斉唱の時だけ、ポケットからマスクを取り出し、口元を覆った。

 入学時からコロナ感染に翻弄(ほんろう)された。答辞を読み上げた礒真音(いそまおと)さん(18)は式典後、「マスクを外せたおかげで、友達の表情が見えて気持ちがよく伝わった」。代表で卒業証書を受け取った中野(なかの)ひよりさん(17)は「一生に1度の晴れ舞台で、みんなの顔が見えて良かった」と笑顔を見せた。

 小山高(小山市)はマスク着用の有無を生徒の判断に委ねた。230人の卒業生のうち、半数がマスクを着けずに式に臨んだ。

 佐藤(さとう)しずくさん(18)は「3年もマスク生活を求められてきた。外してもよいなら、最後ぐらいはなくていい」と、着用せずに出席した。息子の晴れ姿を見届けた母嘉子(よしこ)さん(44)は「本人の表情が見られて良かった」と頬を緩ませた。

 一方、マスクを着けた長沢祐哉(ながさわゆうや)さん(18)は「マスクありの顔が学校での素顔。恥ずかしさで着けたままにした」と胸中を語った。式典で統一感を出すために、マスクの有無を学校側に決めてほしかったとの意見もあった。

 近藤康弘(こんどうやすひろ)教頭(53)は「マスクの有無に関係なく生徒の顔はりりしかった」と喜ぶ。「コロナの影響で3年間十分な教育をやれてきたかと葛藤があった」と明かし、「立派に成長した姿は私たち教職員への贈り物だ」と感慨深げだった。

© 株式会社下野新聞社