江戸時代の食糧難救った… 『せんだんご』作りピーク 対馬で大詰め

せんだんごを作り始めて約70年という橘さん。一つ一つ形がほぼ変わらない「熟練」ぶりだった=対馬市厳原町

 江戸時代の食糧難を救ったとされ、対馬では「孝行芋」とも呼ばれるサツマイモ。それを原料にした対馬市の伝統食品「せんだんご」作りが、対馬市内で大詰めの時期を迎えている。
 せんだんご作りの工程は長い。まずはサツマイモを砕いて発酵させ、乾燥させたり、水にひたしたりしてでんぷん質を取り出す。だんごの形に小さく丸め、軒先などで乾燥させると、対馬の郷土料理「ろくべえ」などのもとになる。一連の流れは、4、5カ月ほどかかる。
 同市厳原町阿連地区の橘トシ子さん(88)は、せんだんごを作り始めて約70年の大ベテラン。2月下旬に訪ねると、屋外で乾燥中のせんだんごを見せてくれた。シイタケ用の乾燥機を使い、完成を早めることもあるという。
 ケースにところ狭しと並んだせんだんごをよく見ると、一つ一つほとんど形が変わらない正確さ。橘さんは「熟練の技です。ぜんざいや、ちまきにすることもありますよ」とにこやかだった。

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