「月命日、やっと足を運べるようになった」 “最後の行方不明者”遺族も黙とう…熱海土石流災害から1年8か月

熱海土石流災害から3月3日で1年8か月。災害現場の近くでは、2023年2月に災害死と認定された最後の行方不明者、太田和子さんの遺族が黙とうを捧げました。一方、警察は、大規模な捜索は3月3日で終了することを決め、ひとつの節目を迎えました。

<太田和子さんの息子 朋晃さん>

「やっと、月命日に足を運ぶことができるようになりました」

土石流災害から1年8カ月。被災者が毎月3日の月命日に、静岡県熱海市の災害現場近くで行っている黙とうに、2023年2月に災害死と認定された太田和子さんの息子・朋晃さんが初めて訪れました。

<近くに住む太田滋さん>

「自分の親より悲しい」

<太田和子さんの息子 朋晃さん>

「やっと、これでけじめができたんで」

朋晃さんは訪れた被災者に感謝の挨拶をしながら、土石流が発生したとされる午前10時半にあわせて黙とうをささげました。朋晃さんは母親と暮らしていた自宅が見える場所で、あらためて、いまの心境を語りました。

<太田和子さんの息子 朋晃さん>

「やっと見つかったということで、私自身ひと安心というかほっとしたような気持ちで、これから母の供養もできますし、少しづつ前に進んで行かなきゃいけないと思いますから、ご心配かけたみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです」

太田和子さんの葬儀は、3月5日に行われるということです。

一方、伊豆山神社近くの災害現場では、静岡県警の高橋誠警備部長や静岡県公安委員会の外山弘宰委員長などが犠牲者に黙とうをささげ花束を手向けました。高橋警備部長らは犠牲者の冥福を祈るとともに、これまでの活動を報告しました。そして、3月3日をもって、警察による大規模な捜索の終了を決めたということです。

<静岡県警本部 高橋誠警備部長>

「遅くはなってしまいましたが、何とか最後の行方不明者を発見したということで、きょうはそのこと含めて、犠牲になられた方々に黙とうをささげに参りました」

<静岡県公安委員会 外山弘宰委員長>

「遺族からの『止まっていた時間を進めることができた』というコメントを受け、当面の区切りをつけるために来た」

警察は1年8か月の間、捜索活動に延べ2万4,000人を動員したということです。

熱海土石流災害は、ひとつの節目を迎えたわけですが、なぜ28人の命が奪われたのか、原因は明らかになっていません。責任の所在をめぐっては現在、警察の捜査と民事裁判という2つで追及が進んでいます。

警察は土石流の起点となった盛り土の前と現在の土地所有者、そして、熱海市の行政対応に不備がなかったかを捜査しています。一方、民事裁判では、遺族や被災者らが、前と現在の土地所有者と静岡県と熱海市に損害賠償を求める裁判を起こし、責任を明らかにしようとしています。

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