2022年8月、消防隊員1人が殉職した静岡県静岡市葵区の飲食店火災で、SBSの情報公開請求により消防が火災原因を特定していたことが分かりました。原因は従業員がごみ箱に捨てた、たばこの吸い殻でした。
「危ないんで下がってもらって」
2022年8月、静岡市葵区呉服町で起きた飲食店火災。3階の飲食店から出た火は激しく燃え上がり、火元の確認に入った静岡市消防局の男性隊員(当時37)が死亡しました。出火元は、店舗奥に位置する倉庫兼休憩室と特定されました。
<火災現場を見た人>
「従業員の消し忘れかなんかで燃えちゃった。(現場では)『更衣室でたばこの消し忘れがあって』と言っていた」
原因については当初から、たばこの不始末の可能性が指摘されていました。今回SBSは静岡市に情報公開請求を行い、関連文書を入手。消防が行き着いた出火原因は、
「たばこの吸い殻を消火が不十分なまま、ごみ箱に捨てたことにより出火」
従業員がごみ箱に捨てた、たばこの吸い殻から出火したと結論付けられました。
今回の請求によって初めて公開された、火災後の現場の写真です。フロア全体が黒く焦げ、火災の激しさを感じさせます。また、たばこが捨てられたごみ箱の底には、直径12センチの穴が。ごみ箱が置かれていた床は、炭化しています。
こうした状況などから、ごみ箱内の紙くずなどに火が燃え移っていたと消防は分析しています。付近にはたばこの吸い殻もあり、ずさんな防火体制がうかがえます。
<消防隊員やりとり>
「煙の色変わった?」
「ちょっと白っぽくなりました」
「了解」
鎮火まで5時間半を要し、1人の消防隊員が命を落とした飲食店火災。
捜査関係者によりますと、店舗側は警察の捜査などに対して日常的にたばこの吸い殻をごみ箱に捨てていたという趣旨の話をしていて、灰皿に吸い殻がたまるとペットボトルで水をかけて消火していたと言いますが、今回十分な消火が行われないまま、ごみ箱に捨てられたとみられます。
警察は業務上失火の疑いなどを視野に捜査を続けています。