「おぉぉ!よし」のち「また落ち込んで」静岡の“下町ロケット” H3初号機打ち上げ失敗にも前向く

日本の新型主力ロケット「H3」初号機の打ち上げが3月7日、鹿児島県で行われましたが、打ち上げ後に爆破され、失敗となりました。このロケットのエンジンに部品が使われている静岡県内の企業は、次の打ち上げに向けて新たな目標を定めようとしています。

<エステックの社員たち>

「ぜひ成功することを祈っています」

国産新型ロケット「H3」は、従来のものよりも打ち上げ能力を高めながら、低コストを目指した次世代のロケットです。静岡県清水町にあるエステックは、航空機や宇宙ロケットのエンジンなど、小型で精密な金属部品の加工が得意な専門メーカー。その技術は、国内でも屈指の精度と信頼性があり、「H3ロケット」第1段エンジンの一部にエステックの製品が採用されました。

<エステック 鈴木誠一社長>

「第1エンジン『LE‐9』の吹き出し口の(部品の)大半をエステックで作っています。これは数ミクロン。髪の毛の何百分の1とかいうレベルじゃないですか」

ロケットの部品に求められる1000分の1mmの精度を出し、傷がないかなどを技術者の目と手で確かめます。新型コロナの感染拡大で航空業界は大きな影響を受け、明るい話題が少なかった3年間。自社製品が宇宙へ飛び出す第一歩を、社員全員で見守ります。

<JAXAライブ映像を見守るエステックの社員たち>

「おぉぉ。よしっ」

打ち上げから1分、固唾をのんで見守っていた社員たちからようやく拍手が。

<エステックの社員たち>

「成功?成功かな?」

「成功です」

しかし、歓喜の拍手から約20分後。JAXAはロケットが制御できなくなり、H3ロケットは遠隔操作で爆破したと発表したのです。

<エステック 鈴木誠一社長>

「喜んだのに、また落ち込んで」

Q.エステックとしての役割は(果たせた)?」

「ちゃんとできたかな」

鈴木社長は次の打ち上げに向けて気持ちを切り替えていました。

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