クルマを買うタイミング、いつがお得?新生活で覚えておきたい税金の知識

すっかり気候も春めいて参りました。コロナ禍以降「風の時代」と呼ばれて、自分の好きなことを仕事にしようと、新しいチャレンジに取り組まれる方も増えてきたようですね。この春こそは、と思われている方も多いのではないでしょうか?

そんな環境の変化に向けて動き出そうとした矢先、「お金や税の話は苦手で」としっぽを巻いて諦めたですって? なんて……嘆かわしい!

そんな最初から出鼻をくじかれないよう、お笑い芸人で本物の税理士である税理士りーなと一緒に、新生活の税について楽しく学びましょう。クルマを買う、退職予定・事業主のお引っ越しなど、新生活を控えている方、必見です。


新生活でクルマを持つなら

新生活でクルマの購入を検討されている方は、どのタイミングで買うのがいいかチェックしておきましょう。自動車税や軽自動車税のルールを知っておくと、実は税金がお得になるタイミングがあるのです。

結論から言うと、自動車なら毎月1日に買う、軽自動車なら毎年4月2日に買うのがお得です。この違いは、自動車税と軽自動車税の月割ルールの違いから生まれます。

自動車税は1ヵ月ごとの月割がされるので、4月1日に購入しても4月30日に購入しても、4月分の自動車税を納めるように納付書が発行されます。ですので、月末に買うよりも月初に買う方が、初めの月の分を払ってフルに利用できるのでお得感がありますね。

一方、軽自動車税は月割の制度はありません。4月1日に持っている方に対して、1年分の軽自動車税を納付するように納付書が作成されます。ですので、4月2日に軽自動車を買うと、ほぼ1年分の軽自動車税を払わなくて済むので、4月1日を過ぎてすぐに買うのがお得ということです。

「春から使いたいけど、いつ買おうかなぁ」と悩んでいた方は、税金が発生するタイミングも参考に、購入時期を検討してみてはいかがでしょうか?

フリーランス・事業主になるには?(開業届)

働き方改革で、副業を認める企業も増えてきました。この春から「副業を始めてみよう」「会社を辞めて自営業をはじめよう」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

副業など自分で独自の売り上げをあげて収入を得る場合、1〜12月の儲けが20万円を超えると、必ず確定申告が必要になります。この時、副業などの収入は「給与所得」とは別の区分で集計する必要があり、「事業所得」または「雑所得」といういずれかで申告することになります。

事業所得と雑所得の違いは、収入の頻度や規模で決まります。年に数回しか収入が計上されない場合は、「その他の所得」という意味で「雑所得」で申告しますが、毎月計上的に収入が計上されるのなら、一定の条件を満たすと「事業所得」という区分で申告ができます。

個人事業主として「事業所得」を申告するためには、下記を満たすと事業主としていろいろな税金の優遇があります。

・税務署に「開業届」を出す
・事業を継続的にずっと行っている
・帳簿をつける

例えば、経費をたくさん使ってしまい、入ってきた収入よりも出ていった経費の方が多い時は、所得(儲け)がマイナスになります。「事業所得」の場合、このマイナスを給与などの所得(儲け)から引いてくれます。一方、「雑所得」ならマイナスはゼロとして計算します。

開業届を提出したら「あなたは青? 白?」(青色申告)

開業届を出し「事業主です」と名乗るようになったとしても、さらに2種類の事業主に分かれます。ちゃんとした帳簿をつけて税を安くしてもらえる「青色申告」ができる方と、ざっくり帳簿で優遇を受けられない「白色申告」をする方です。

青色申告は「複式簿記」という、しっかりした帳簿をつけることとあわせて、事前の申請が要件です。これらをクリアすれば65万円控除があるなどお得な税制を活用して節税ができるのです。

もし、令和5年分から青色申告を行いたければ令和5年の3月15日(水)までに申請を出す、また新たに開業した方は開業日から2ヵ月以内に提出しなければ優遇を受けられません。この春を機に、新しい事業を始めるだけでなく、起業や副業にまつわるお金の勉強もあわせてしておくと、お金の貯め方がさらに充実すると思います。

副業と税金の関係については、以前解説した記事もをご覧ください。

退職してフリーランスになったら

会社を退職すると、社会保険の切り替えや、失業保険の申請など色々な手続きが必要になります。

社会保険の手続きは早めにしておかなければ、健康保険証のない期間ができてしまい、不安になるだけでなく、途切れていた期間はさかのぼって請求されますので、手続きを何ヵ月も後ですると、一気に数ヵ月分の健康保険料などを請求されて、金額が大きくなって大変です。

会社の任意保険に入る場合や、国民健康保険に入る場合など、手続きする場所が異なります。退職前に必ず、いつどこに何を持って手続きにいけばいいのか、会社に確認しておきましょう。

フリーランスとして継続的に活動し、収入を得られるようになるのであれば、前述の副業でもお話しした「開業届」を出して、しっかり帳簿をつけて事業主としての申告に備えていきましょう。青色申告も検討して、節税の対策もしっかりしていただくとよいでしょう。

また、退職後すぐにフリーランスに転身する予定の場合、失業保険の受給を受けることができません。時々「フリーランスになる予定でも、開業届は失業保険の受給を受けた後に出すべき」などという情報も見かけますが、失業保険の支給を受けられるのは、「失業の状態にある方」とされています。

この「失業の状態」とは、「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない」(※)という状態を指しているので、開業予定で準備している方は、対象外とされています。
※引用:ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」より

ルールを破って給付を受けると、後で返還を求められ、「なんて……嘆かわしい!」ですね。正しいルールに基づいて、条件を満たした場合には給付を受けましょう。

事業主が引っ越したら(異動届)

春になって引っ越しされる方も多いですね。開業届を出している事業主の方は、引っ越しの際も税務署に出さなければならない書類があります。「納税地の異動または変更に関する届出書」です。

実は、この令和5年1月から、事業主が引っ越しなどで確定申告書に記載する住所「納税地」を変更する場合の手続きが簡素化されました。

これまでは、引越し前と引越し後2つの税務署に「納税地の異動または変更に関する届出書」を提出しなければなりませんでしたが、令和5年1月以降の引っ越しについては、引っ越し前の税務署にだけ提出すればOKです。引っ越し後の税務署については、「確定申告を出した時に、こっちに引っ越してきたのか、と把握できるから出さなくていいよ」となったのです。

手続きが楽になって、「なんて……喜ばしい!」ですね。


税やお金の知識は、知らなくても生きていけますが、知っているとトクをして、その分のお金が手元に残っていくということになります。

節約やお買い物をガマンするのも一つですが、税やお金の知識をつけて、財産を増やし、いまよりもっと豊かな生活を手に入れられると、「なんて……喜ばしい!」ですね。ぜひ、自分の税やお金の情報にしっかりとアンテナを張ってみてください。

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