移動型「子ども食堂」始まる 空白地域の利用期待 那須塩原市内初

利用者に弁当を手渡す根岸さん(左)

 【那須塩原】無料または低料金で子どもに食事を提供する「子ども食堂」が増える中、キッチンカーを利用した移動式子ども食堂の取り組みが今月、市内で始まった。営業は主に週末で弁当は無料。市によると、市内に子ども食堂は15カ所ほどあるが、「移動型」は初めて。関係者は「(子ども食堂の)空白地だった地域の人にも利用してもらえるのではないか」と期待している。

 キッチンカーの名前は「桃さく食堂」。西岩崎のパート従業員根岸佳世子(ねぎしかよこ)さん(60)が、市内を拠点に活動するボランティア団体「子どもの未来と困窮者を守る会」代表の城田治(しろたおさむ)さん(54)=豊浦=と共に始めた。店名の「桃さく」は飼い猫の名前から取った。

 2人は営業開始に向けて約1年前から準備を始め、根岸さんは食品衛生責任者証と保健所の営業許可を取得。シングルマザーとして苦労した経験を持つ根岸さんは「学校の給食がないと十分な食事ができない子がいる、という話を聞くと胸が痛くなった。子どもに加え、仕事や家事で忙しいお母さんにも心のゆとりを提供できれば」と話す。

 根岸さんらは弁当を無料で配布するため、活動費や食材を提供してくれるスポンサーを募集。弁当は食品ロスを防ぐために事前予約制とし、ごみを減らすために割箸も付けないことにした。営業初日の4日と5日は埼玉の旧稲村公民館駐車場で計37食を配布。今月は8、11、14、19、24、26、31日にも営業するという。

 市子育て支援課の室井勉(むろいつとむ)課長(58)は「市内の子ども食堂は増えたが、それでも地域的にカバーできない部分があった。機動性があるキッチンカーが加わってくれたことで、そうした場所の方も利用できるのではないか」と期待感を示した。

 これまで全国各地で行政と協力しながら貧困対策に取り組んできた城田さんは「子ども食堂を開店する際には土地所有者の許可が必要なので営業場所の確保が難しい面もあるが、困っている人たちのために頑張りたい」と意気込んでいた。

 (問)城田さん070.6597.4309。

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