父の廃業後に引き継いだ会社を受注ゼロから100億円の価値にした女性の逆転劇 福井で講演「顧客や従業員も離れ、資金もない状況だった」

受注ゼロの状態で会社を事業承継し、大きく成長させた秘けつを話す平美都江さん=3月2日、福井県福井市の福井商工会議所ビル

 事業承継や起業に向けたノウハウを学ぶセミナーが3月2日、福井県福井市の福井商工会議所ビルで開かれた。父親が廃業した後、引き継いだ会社を100億円で売却した平鍛造前社長の平美都江さん(66)=石川県=が講師を務め、「受注ゼロから始まったが、積極的な設備投資により作業のスピード化を図り価格競争力を高めた結果、成長することができた」と話した。

 セミナーは「女性視点の起業と事業承継を考える」をテーマに、県事業承継・引継ぎセンターや福井市などが主催。事業承継や起業に関心のある経営者ら約90人が聴講した。

 平さんは2009年に父親が廃業した金属加工会社を承継し、成長させた会社を売却し21年に退職。現在は経営コンサルティング会社を営んでいる。

 平さんは事業を承継した当時を振り返り、「顧客や従業員も離れ、資金もない状況だった」と説明。企業が成長できた理由として「営業や製造現場、財務、人材育成のそれぞれの面で課題を探った」ことを挙げた。「営業では顧客がいなくなった国内ではなく国外に目を向け、社員が少ないため1人で複数の仕事ができる多能工を育成するなど、ピンチをチャンスにできたことが大きい」と述べた。

⇒廃業も考えた福井・片町のジャズバー「私が継ぎます」

 ほかに、福井市内のジャズバーを承継した畑春美さんも事例発表を行った。

© 株式会社福井新聞社