【連載コラム】第2回:今季の日本人投手6人は全員が先発投手 日本人リリーバー不在は1997年以降初めて

今季のMLBでは8人(マイナー契約の筒香嘉智を含めると9人)の日本人選手がプレーする予定です。打者は鈴木誠也(カブス)と吉田正尚(レッドソックス)、投手はダルビッシュ有(パドレス)、前田健太(ツインズ)、菊池雄星(ブルージェイズ)、千賀滉大(メッツ)、藤浪晋太郎(アスレチックス)、そして二刀流の大谷翔平(エンゼルス)。大谷も含めると、6人の投手がプレーする予定ですが、この6人はいずれも先発投手で、全員が開幕ローテーション入りするとみられています。

つまり、今季は日本人リリーバーが1人もいないシーズンとなります。これまでMLBの舞台で多くの日本人リリーバーが活躍してきました。オールスター・ゲームに選ばれた日本人リリーバーだけでも、佐々木主浩(2001~02年)、長谷川滋利(2003年)、岡島秀樹(2007年)、斎藤隆(2007年)、上原浩治(2014年)と5人を数えます。では、日本人リリーバーがいないシーズンはいつ以来なのでしょうか。実は、エンゼルスに長谷川、メッツに柏田貴史が入団した1997年以降、毎年必ず1人以上の日本人リリーバーがMLBの舞台でプレーしています。1996年に1試合だけ登板した鈴木誠を除くと、日本人リリーバーがいないシーズンは1996年以来27年ぶりということになります。

シーズン50試合以上に登板した投手だけに限定しても、日本人リリーバーの系譜はほぼ途切れることなく続いてきました(短縮シーズンの2020年は山口俊の17試合が最多、昨季は澤村拓一が49試合で惜しくも50試合の大台に届かず)。長谷川は1997年から2004年までの8シーズンのうち、46試合にとどまった2001年を除いて毎年50試合以上に登板。エンゼルスとマリナーズでセットアッパーやクローザーを務めました。長谷川が50試合に届かなかった2001年は佐々木が69試合に登板。佐々木は2000年から3年連続60試合以上に登板して37セーブ以上を挙げ、マリナーズの「大魔神」として活躍しました。

2004年からは高津臣吾と大塚晶則が登場。2006年に斎藤、2007年に岡島、2008年には小林雅英と藪恵壹も加わり、日本人リリーバーの歴史をつないでいきます。高橋尚成は2010年から3年連続で50試合以上に登板。メジャー1年目の2009年は先発を務めた上原も、翌2010年からはリリーフに回り、50試合以上に登板したシーズンが4度(2011年、2013~14年、2016年)ありました。また、日本人リリーバーの歴史をつなぐうえで重要だったのが田澤純一の存在。田澤はメジャー定着を果たした2013年から5年連続で50試合以上に登板しましたが、2015年と2017年は50試合以上に登板した日本人リリーバーが田澤しかいませんでした。

2018年にダイヤモンドバックスに加わった平野佳寿は、この年75試合、翌2019年も62試合に登板。短縮シーズンとなった2020年を挟み、2021年はレッドソックスに入団した澤村が55試合に登板しました。澤村は昨季も49試合に登板し、今季から千葉ロッテに復帰しています。

今季は1997年以降初めて、日本人リリーバーがいないシーズンとなりますが、6人もの日本人先発投手がプレーします。過去に6人の日本人投手が10試合以上に先発したシーズンは1度もなく(2000年、2014年、2021年の5人が最多)、今季はこれまでで最も多くの日本人先発投手の活躍を見られるシーズンとなるかもしれません。打者3人(大谷、鈴木、吉田)も含め、今季も日本人選手の活躍が楽しみです。 (文中は敬称略)

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