職員マスク「原則継続」13市町 栃木県内、窓口は大半が着用

宇都宮市役所正面玄関に張り出されたチラシ。13日以降、マスクの着用が個人の判断に委ねられることなどが記されている=8日午後

 新型コロナウイルス感染対策のマスク着用を個人の判断に委ねる政府指針が適用される13日以降、栃木県内25市町のうち13市町が、引き続き職員に原則マスクを着けるよう求めることが10日までに各市町への取材で分かった。特に市民と近くで接する窓口職員には20市町が着用を求め、市町長も少なくとも17人が原則、着ける。感染の再拡大や着脱を巡るトラブルなどが懸念材料で、「脱マスク」への転換に慎重な姿勢が透ける。

 具体的に回答したのは23市町。市貝町は「まだ方針を決めていない」とし、足利市は「期限までに回答が間に合わない」とした。

 窓口以外の職員にも着用を求めると答えたのは、佐野、鹿沼、下野、高根沢、那珂川など13市町。那須烏山市は「市民への配慮と庁内の感染防止」を理由に挙げ、矢板市は「市民の不安に対応し、一定の周知期間を置くため」と、3月末まで着用を求める。

 「個人の判断に委ねる」は宇都宮、真岡、塩谷など10市町。「国の方針に従う」(大田原市)、「来庁者との接触が少ない」(野木町)、「着用を推奨する場面を参考に対応する」(塩谷町)などとした。

 窓口職員に対しては、重症化リスクが高い高齢者ら不特定多数と接することなどから、大半の市町が着用を求めるが、宇都宮、那須塩原市と壬生町は個人の判断に委ねる方針とした。

 ただ、「仕切りを介さず会話や接触をする業務では着用を求める」(那須塩原市)など、3市町とも必要な場面では着用させる意味合いを含んでいる。

 首長は、宇都宮、栃木、那須塩原市、塩谷町が国の方針に準じることなどを理由に「原則着用しない」と答えた。選択肢で答えず「国の指針に合わせる」(小山)「場所を選んで着脱を判断する」(茂木)などとした市町長もいる。

 マスク着脱には個人の価値観が絡むため、不安の声も相次ぐ。那須塩原市は「考え方、安心感に個人差があり、窓口対応でトラブルの懸念がある」、佐野市も「着脱における人権侵害が起きないか」と不安視する。

 栃木や鹿沼、日光市、上三川、壬生町などは「感染の再拡大」を挙げた。芳賀町は「再拡大した場合(町民らに)着用をお願いしてもすぐに対応してもらえるか不安」と回答した。

【窓口職員】
▽着用を求める
栃木市、佐野市、鹿沼市、日光市、小山市、真岡市、大田原市、矢板市、さくら市、那須烏山市、下野市、上三川町、益子町、茂木町、芳賀町、野木町、塩谷町、高根沢町、那須町、那珂川町

▽個人の判断に委ねる
宇都宮市、那須塩原市、壬生町

【窓口以外の職員】
▽着用を求める
佐野市、鹿沼市、日光市、矢板市、さくら市、那須烏山市、下野市、益子町、 茂木町、芳賀町、高根沢町、那須町、那珂川町

▽個人の判断に委ねる
宇都宮市、栃木市、小山市、真岡市、大田原市、那須塩原市、上三川町、壬生町、野木町、塩谷町

※足利市は回答が間に合わないとした。市貝町は方針を決めていないと回答。

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