「家族に申し訳ない」“老老介護” 殺人で妻(78)に懲役5年求刑

去年5月、広島県竹原市の自宅で85歳の夫の首を絞めて殺害したとされる78歳の妻の裁判で、検察側は懲役5年を求刑しました。

起訴状によりますと、竹原市の 中田妙子 被告(78)は去年5月、自宅のベットで寝ていた85歳の夫・光昭さんの首を、4本つなぎ合わせたネクタイで絞めて窒息させ、殺害したとされています。

10日の裁判で検察側は殺害の動機について、「中田被告が介護負担のせいではなく自分の体調悪化に不安を感じ、自殺しようと思ったが、被害者だけ残して子どもたちに介護の迷惑をかけたくないと思ったから」と指摘しました。

さらに「家族や日常生活や介護の面談を実施していたケアマネジャーに相談する機会は何度もあったのにも関わらず、光昭さんがこのまま生き続けるのはつらいだろうと勝手に決めつけ、犯行に及んだ」としたうえで、「犯行に至る経緯や動機は身勝手で特段積むべき事情はない。介護疲れではなく、あくまで無理心中目的の犯行」として懲役5年を求刑しました。

一方、弁護側は、「中田被告は高齢で緑内障やひざ関節痛などを患いながら重度の認知症である光昭さんの介護をして相当な負担になっていた」「責任感が強く、自分以外に光昭さんを介護をすることはできないと、献身的に介護に取り組んでいた」などと主張して、執行猶予のついた判決を求めました。

裁判長に最後に言いたいことを問われた中田被告は…。

「わたしの身勝手な行動でこんなにたくさんの人に迷惑をかけて申し訳ないと思う。主人は帰ってこないけれど、本当にみなさんにたいへんなお騒がせをしたことは深くお詫びします。それから家族と孫たちにも本当に悪かったと思います。主人は帰ってきませんけど、子どもや孫からしたらお父さんとおじいちゃんであり、本当に申し訳ない。深くお詫びしたい。主人とは富士山に一緒に登って頂上にあがれなかったこと、北海道旅行したことはとても楽しい思い出でした。これからはどれくらい迷惑をかけるか分からないけれど、がんばって一生を終えたい。すみませんでした。申し訳ない」

判決は、16日に言い渡されます。

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