東日本大震災から12年 避難が長期化、栃木県内に今も1160人

県の制度に登録している避難者数の推移

 東日本大震災の発生から、11日で12年を迎える。県内では今も、福島県や岩手県から避難した計1160人が暮らしている。ピーク時からは3分の1程度にまで減少したが、本県に定住したり、他県に移ったりした人もいる。ふるさとへの帰還が進んだとは言い切れず、避難が長期化しているのが現状だ。

 復興庁は避難者を「震災で住居を移した後、前の住居に戻る意思を持つ人」と定義している。

 栃木県の避難者のうち福島県からは1151人で、岩手県が9人。

 避難先は宇都宮市が最多の300人、次いで那須塩原市162人、小山市119人、栃木市78人などと続く。那須烏山、市貝、芳賀、塩谷、那珂川の5市町を除く20市町に避難者が暮らす。住まいは賃貸住宅などが多く、親族・知人宅や、公営住宅に身を寄せる人もいる。

 県は震災発生時の2011年3月から任意の登録制度に基づき避難者数を把握。避難した市町に申告すると住んでいた自治体に通知される仕組みで、故郷からの情報や避難者同士の交流につながる支援が提供される。ピークは12年2月の3197人だった。

 ただ、避難者が帰還や転居などをした際に申告がなければ反映されず、22年は国と各都道府県による避難者数の実態調査が行われた。同年4月時点で、2735人から1235人に修正された。

 避難が長期化している要因について、復興庁被災者支援班は「分析は行っていないが、中には仕事や子育ての生活基盤ができ、定住に近い人もいるのではないか」と説明する。

 県危機管理課の担当者は「避難者が必要な支援が適切に受けられるよう、引き続き市町と連携して支援していく」としている。

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