中高年に多い帯状疱疹 3人に1人、治療は「早いほど効果的」

背中に生じた帯状疱疹

 中高年になると発症しやすくなる帯状疱疹(ほうしん)。80歳までに3人に1人がかかるといわれる。「痛い」という症状はよく聞くがどのような病気なのか。佐野厚生総合病院皮膚科の田村政昭(たむらまさあき)医師に聞いた。

 帯状疱疹の主な症状は、体の片側に痛みを伴う赤い発疹と水ぶくれが多数集まって帯状に分布し、皮膚の炎症でヒリヒリ、チクチクといった強い痛みを感じる。年間千人当たり約4人がかかるといわれ、50代から発症しやすくなる。田村医師は「80歳までに3人に1人が経験し、ありふれた皮膚病」とする。

 原因は子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスで、治った後も神経節に潜伏。ストレスや加齢などによる免疫力の低下で再活性化する。

 治療は、抗ウイルス薬を7日間服用する。重症化すると点滴を打ったり入院したりすることがある。

 田村医師は「治療は早いほど効果がある」とし、発症から3日以内の受診を勧める。通常は初診から2~3週間で皮膚が落ち着き痛みも消える。同病院が患者905人を対象に行った調査によると、約8割の患者は発疹が治る頃には痛みを訴えなくなる。

 ただ「治療が遅れたり発疹がひどかったりして、神経がひどく損傷すると、皮膚の症状が治っても痛みが続く。これを『帯状疱疹後神経痛』という」と田村医師。痛みによる不快感で不眠や抑うつ状態になり、生活の質を落とすことにつながる場合がある。

 帯状疱疹の予防、重症化を防ぐには、ワクチンが有効だ。50歳以上が接種対象で、水ぼうそうウイルスを弱毒化した生ワクチンと不活化ワクチンの2種類がある。健康保険の適用はないが、栃木県内では2023年度から助成を検討している自治体もある。

 田村医師は「ワクチンはそれぞれ回数、効果や費用が異なる。かかりつけの皮膚科医に相談して選択してほしい」と話す。

帯状疱疹後の神経痛の有無
田村政昭医師

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