マスク外して晴れやか、沖縄の中学校で卒業式 「コロナ禍のつらさ」思い出し涙も

 沖縄県内の多くの公立中学校で11日、卒業式が行われた。糸満市立糸満中学校では同日、178人が慣れ親しんだ校舎を後にした。卒業生のマスクは任意で、大半の生徒がマスクを着けず、式に臨んだ。校歌「照屋城址(じょうし)のふもと」や卒業の歌「旅立ちの時」を斉唱する際には、マスクを着用して歌い、歌い終わると再びマスクを外してあいさつなどに聞き入った。
 マスクを外した卒業生らは舞台上では引き締まった表情で卒業証書を受け取り、降壇した後は教員らに祝いの言葉をかけられ、笑顔になる様子が見られた。在校生らは各教室にオンラインで生中継される映像を視聴し、会場の卒業生にも聞こえる大きな拍手を送った。
 卒業生代表の答辞で東恩納沙奈さん(15)は、分散登校やオンライン授業など、コロナ禍の中学生活を振り返り「みんなと会えない日々が続くことは、こんなにもつらいものかと痛感した。仲間がそばにいない寂しさを味わったこの3年間」と涙ぐみながら語った。同級生らへ「たくさんの思い出をありがとう。明日からそれぞれの道に向かって歩んでいくけれど、糸満中学校で過ごした日々を支えにして新しい場所で共に頑張っていこう」と話し、前を向いた。
 式辞で大城直之校長は「コロナで行事、部活などを十分に行えず、ハーレーや綱曳(つなひき)なども中止になった。その中でも行事の実施方法を工夫する皆さんの姿を見た。一人一人の大きな可能性は想像をはるかに超える」などと激励した。(古堅一樹)

© 株式会社琉球新報社