5億円超流出、増やせふるさと納税 茅ケ崎の6年生が市に提案 返礼品考案やロゴ作成

ふるさと納税ロゴマークを掲げる市立東海岸小の6年4組の児童ら=茅ケ崎市役所

 茅ケ崎市へのふるさと納税を増やそうと、市立東海岸小の児童が新規返礼品の考案やロゴマークの作成に携わり、市に提案した。プロジェクトに関わった児童は「これからも、もっと活動について知ってもらいたい」と意欲を見せている。

 同市のふるさと納税は2021年度に市民が市外の自治体へ寄付した納税額が約5億9千万円だったのに対し、市外在住の人が市に寄付した金額が8800万円にとどまるなど、流出額が多い。その現状を知った同小6年4組の児童らが総合的な学習の授業の一環で「FNP(ふるさと・納税・プロジェクト)」と銘打った活動を昨年5月からスタートさせた。

 児童は、ふるさと納税が多く集まっている6自治体の調査から開始。長野県千曲市などにヒアリングした結果、PR活動の重要性や返礼品の種類の多さが鍵を握ることが分かった。その後、新たな返礼品を考える中で、茅ケ崎市の強みが物品や特産品などの「モノ」よりも体験などの「コト」にあると考え、「コト」を重視した新規の返礼品を検討し始めた。

 新型コロナウイルス禍でキャンプ人口が増えたり、テレワークが普及したりしていたことに着目し、海に近いキャンプ場やコワーキングスペースの利用券の返礼品化を思い立ったという。その後、市職員と一緒に「柳島キャンプ場」(同市柳島海岸)と「コワーキング&ライブラリーCの辺り」(同市中海岸)を訪問し、返礼品への登録を呼びかけた。

 また、同小OBのアーティストRyu Ambe(リュウ・アンベ)さん(33)にロゴマークの作成を依頼。返礼品の絵を盛り込んだ烏帽子(えぼし)岩をイメージしたロゴが完成した。市は、今後のプロモーション活動で活用していくという。

 柳島キャンプ場は、寄付額2万7千円でテントやテーブルが設置された状態ですぐに利用できるプランの無料引換券を用意、「Cの辺り」は1日~1カ月の利用券を返礼品として提供することになった。

 「Cの辺り」を運営する池田美砂子さん(45)は「児童が世の中のニーズを捉えメリットなどをプレゼンしてくれた。子どもから大人までみんなで街を良くしていく仕組みができた」と話していた。同市は「ふるさと納税を通じて市の魅力向上を図りたい」としている。

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