発生から57年が経とうとするいわゆる「袴田事件」について、東京高裁は3月13日、袴田巖さん(87)の再審=裁判のやり直しを決めました。午後2時、この決定が伝えられた瞬間、東京高裁前の弁護団が喜びに沸く一方、袴田さん本人は浜松市内で支援者と過ごしました。
<袴田巖さんのひげをそる姉のひで子さん>
「はい、よろしい」
13日、いつも通りの朝を迎えた袴田巖さん。
<ひで子さん>
「きょうはね、東京行ってくる。わたし一晩泊まるで、東京に」
<巖さん>
「ああ、そう」
<ひで子さん>
「留守番しててよ」
<巖さん>
「金もらわにゃあ」
<ひで子さん>
「ああそうか、そうだね」
48年もの獄中生活で精神を病んだ袴田さんに姉のひで子さん(90)は「東京に行ってくる」とだけ伝えて、東京高裁へと向かいました。
<袴田ひで子さん>
Q.どんな日になるといいですか?
「再審開始になることを願っております」
そして、午後2時すぎ。
<井出春希キャスター>
「弁護団が出てきました。再審開始です!再審開始、東京高裁は袴田事件について裁判のやり直しを認める決定をしました。東京高裁前は拍手と歓声があがっています」
<袴田ひで子さん>
「みなさま、ありがとうございます。再審開始になりました。本当にうれしいです。私はね、56年間闘っているんですよ。この日が来るのを本当に心待ちにしていました。これでやっと肩の荷が下りたという感じ。ただ、うれしい!ただ、うれしい!ただ、うれしい!」
<支援者と袴田巖さん>
Q.寒いね、着る?
「まだいい」
その頃、袴田さんは支援者と一緒に浜松市浜北区の寺を訪れていました。再審開始を認めた東京高裁の決定は、寺に向かう途中の車の中で支援者を通じて伝えられたといいます。
<袴田巖さん>
Q.どんな事をお願いした?きょうはどんな1日?
「勝つ日だと思うがね。最高裁になることに賭けてる。どうなれるか。最後の結果がこれから出るんだね」
事件から57年。袴田さんの前に立ちはだかり続けた再審の扉が、再び開きました。