「高市節」に政権翻弄 参院予算委でも「捏造」撤回せず 推しアナ紹介し「テレビ朝日ディスるはずもない」 

 放送法の「政治的公平の解釈変更を進めた」とする行政文書を巡り、高市早苗経済安全保障担当相は13日の参院予算委員会で「記された事実は一切ないことを自信をもって申し上げます」と繰り返し、「捏造(ねつぞう)」との見解を撤回しなかった。日韓首脳会談の開催に向けて調整を進めるなど外交成果で支持率アップを目指す岸田文雄首相だが、大事な週の出はなをくじかれた格好。「止めようのない高市節」(自民ベテラン議員)に政権が翻弄(ほんろう)されている。

 政府関係者によると、先週末に官邸や自民党が予算委に向けて善後策を模索。自民からの質問に「記憶があやふやだった」と答弁してかわす案などが検討されたが、高市氏に応じる気配は皆無だった。更迭も視野に「だれが鈴を付けるか」も話し合われたが「必要なのは鈴より(口封じの)マスク」と冗談が出るだけで時間切れになったという。

 13日の朝、岸田首相は「就任以来初めて」(周辺)マスクなしで官邸入り。記者団の問いかけに「個々人の着脱を強制するものではない」と回答した。首相に近い議員は「マスクなしで高市節への策もなし。皮肉な解禁日だ」と嘆いた。

 予算委では「高市節」がさく裂。文書にある「テレビ朝日に公平な番組なんてあるの?」との発言の真偽を立憲民主党の福山哲郎氏からただされると「そんなことは言わない」と否定。さらには同局系の情報番組の司会を務める羽鳥慎一アナウンサーの名を挙げ「テレビ朝日をディスる(さげすむ)はずもない。恥ずかしながら羽鳥アナの大ファンで朝はその顔をひと目見て出かける」と説明した。

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