袴田さん再審開始に「自分事のようにうれしい」 足利事件で再審無罪の菅家さん

 「自分の事のようにうれしい」。東京高裁で袴田巌(はかまだいわお)さん(87)の再審開始が決定した13日、1990年に女児が殺害、遺棄された足利事件で再審無罪が確定した菅家利和(すがやとしかず)さん(76)が下野新聞の取材に応じ、袴田さんへ祝福の声を贈った。

 全国の冤罪(えんざい)被害者を支援している菅家さんは、共通の知人を通じて袴田さんや姉ひで(子こ)さん(90)と知り合った。支援者が開いた調査活動にも同行したことがあり、「無実だ」との思いを強めたという。

 再審開始決定の一報を受け、「袴田さんに会ったら、『良かったですね』と言いたい。お姉さんの苦労が報われた」と喜んだ。

 袴田事件で争点となった「犯行時の衣類」について、東京高裁の決定は捜査機関による捏造(ねつぞう)の疑いに言及した。菅家さんは「うそやでっち上げで袴田さんは犯人にされた。味わった死の恐怖を思うと、絶対に許されない。捜査機関は謝るべきだ」と怒りをあらわにした。

 DNA型の再鑑定で冤罪被害者だったことが判明した菅家さんは2010年、再審無罪が確定した。10年以上が経過したが、心の傷は癒えていない。袴田さんに対し「ぜひ長生きをしてほしい」と願った。

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