「担当したら絶対に負けたくない」“伝説のダービーダブル実況”アナウンサーが語る“静岡三国決戦”論

30周年を迎えたJリーグ。今季、明治安田生命J2リーグには、清水エスパルス、藤枝MYFC、ジュビロ磐田と史上初めて静岡県内の3クラブが顔をそろえました。この“戦国J2”を静岡から盛り上げようと3つのクラブがタッグを組んだ企画が「静岡三国決戦」。計6試合を盛り上げていきます。

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これまで、清水対磐田のライバル同士の死闘をテレビやラジオで伝えてきたSBSアナウンサー3人が、転換期を迎えた“静岡ダービー”そして、“静岡三国決戦”について持論を展開します。第1弾は、“伝説のダブル実況”を担当した大石岳志アナウンサーが語ります。

ジュビロのダービー男といえば“トト”スキラッチ選手

勝負強い“ダービー男”

今季は、J2の舞台では初めてとなる磐田対清水の“静岡ダービー”が行われる。戦うステージは変わり、名前が変わっても永遠のライバルに負けられない一戦だ。特に2023年は、1年でのJ1復帰もかかったシーズンで両チームにとって、これまで以上に白熱した試合となりそうだ。

ダービーで活躍する選手を「ダービー男」と呼ぶ。強く印象に残るところでは、1990年代の磐田のスキラッチ選手(1994~1997年在籍、1990年イタリアW杯得点王)で11得点、決定力の高さは群を抜いていた。ゴール前でスキラッチ選手にボールが渡ったら何かが起こる。我々実況アナウンサーもゴールシーンを想定して一気に実況のテンションが上がった。

過去の磐田対清水の通算最多得点は、磐田の中山雅史選手(1994年~2009年在籍)で14得点。1999年チャンピオンシップの2得点を含めると計16得点、まさに「ダービー男」だ。一方、清水の「ダービー男」はチョ ジェジン選手(2004年~2007年在籍)で通算5得点。ここ一番の勝負強さが光った。新時代の「ダービー男」、いや「三国決戦・男」に誰が名乗りを上げるのか注目したい。

“ダブル実況”の裏側…

SBSラジオでは、日本で初めて、2人のアナウンサーが磐田側と清水側に分かれて、“サポーター代表”になったつもりで、交互に応援実況するダブル実況スタイルで数多くの“熱闘”を放送してきた。

ルールは1つだけ、ボールを保持しているチームの担当アナウンサーが実況できる。ボールを握っていれば、ずっと喋り続けることができる。どちらの担当アナウンサーが多く喋っているかで、どちらのチームが優勢なのかがわかる。

放送席では、2人のアナウンサーが相手アナウンサーより少しでも多く声を出そうとバトルする。自チームに有利なデータを入れたり、選手やチームへの想いをたっぷりと語りながら応援実況する。担当チームの得点シーンでは、ゴールした選手、チーム、サポーターと同じくらい喜びを爆発させながら放送席で絶叫する。

磐田対清水は1点差の白熱した試合が多く、ダブル実況の放送席でも熱いバトルが展開される。先輩アナウンサーとダブル実況をしたとき、あまりに白熱しすぎてかなりきわどい言葉をぶつけて、放送中に気まずい雰囲気になり、帰りの車内でもギクシャクしたままということもあった。

ダブル実況を担当した以上、絶対に負けたくないという想いはアナウンサーも一緒。2023年はJ2で旋風を起こしつつある藤枝を加え「静岡三国決戦」と名付けられ、新たな戦いの歴史がスタートする。白熱した“新時代ダービー”にいまからワクワク感が止まらない。

(SBSアナウンサー 大石岳志)

【静岡三国決戦】

3月18日(土)ジュビロ磐田×清水エスパルス(14:00 エコパスタジアム)

5月13日(土)清水エスパルス×藤枝MYFC(14:00 IAIスタジアム日本平)

5月17日(水)藤枝MYFC×ジュビロ磐田(19:00 藤枝総合運動公園サッカー場)

7月16日(日)ジュビロ磐田×藤枝MYFC(19:00 ヤマハスタジアム)

9月30日(土)藤枝MYFC×清水エスパルス(時間未定 藤枝総合運動公園サッカー場)

10月7日(土)清水エスパルス×ジュビロ磐田(時間未定 IAIスタジアム日本平)

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