「次はマスクなしでとびきりの笑顔で」卒業生 旅立ちのことば コロナ禍 3年間の高校生活

広島県内の高校は、卒業式シーズンです、入学直後から臨時休校などを経験した卒業生…。コロナ禍の3年間を経て、どんな思いで学び舎を巣立ったのでしょうか。

広島市中区にある広島国泰寺高校の卒業式には、3年生275人が出席しました。マスクの着用は、生徒たちの判断です。

卒業生代表の横山宗弘さんは、入学直後から向き合ってきたコロナ禍の3年間をこう振り返りました。

卒業生代表 横山宗弘さん
「世間は、わたしたちを『コロナ世代』と呼び、青春を謳歌できず、かわいそう、哀れむかもしれない。しかし、そんな単純な言葉でくくられるような存在ではない。次はマスクなしで、とびきりの笑顔で会いましょう」

式が終わり、教室に戻ってきた卒業生たちは、卒業証書を受け取りました。

2020年4月、全員マスク着用で入学式に臨んだ生徒たち。1週間のオリエンテーションを終えた後、感染拡大の影響で2か月間の臨時休校を余儀なくされました。その後も体育祭や文化祭などのイベントは中止を余儀なくされてきました。

卒業生たち
「2か月間の休校生活から始まり、中学生に戻りたいと思ったこともあった。友だちに恵まれて本当に楽しく、ここで過ごせて良かった」

「(育ててくれた母へ)18年間、ありがとう。ぶつかったり、けんかしたりして、思っていないことも言ってしまって、ごめんなさい。これからもよろしくお願いします」

「行事や部活などできなくなり、楽しくなく、つらいことばかりだった。みんなが目標に向け、がんばっている姿を見て、わたしも強くなれた気がする」

国泰寺高校サッカー部3年生は、コロナ禍で練習時間の制限や大会中止があったものの、2022年の選手権大会では、県ベスト16まで駒を進めました。

サッカー部 マネージャー 安達理央さん
「3年間の中で部活動が一番思い出に残っている。コロナ禍で大会がなくなり、くやしい思いもしたが、最後までがんばれたのでよかった」

総勢80人の大所帯を引っ張ったチームのキャプテンは、この春、岡山大学の医学部に進学します。

サッカー部キャプテン 中西柊斗さん
「全国大会出場はかなわなかったが、高校サッカーをやり切れた」
Q.どんな医者になりたい?
「友人が高校2年のとき、けがでサッカーを辞めなければならなかった。けがをする人が1人でも減り、みんなにスポーツの楽しさを味わってほしい」

コロナ禍で当たり前のことができなかった3年間…。その中で、生徒たち自らが考えぬいた目標に向かって、また新たな一歩を踏み出します。卒業生は、3年間の思いを胸に学び舎を巣立ちました。

◇ ◇ ◇

― 卒業生の中には日本で最難関とされる東京大学理科3類に現役合格した男子生徒もいました。この生徒は、「コロナ禍で休校となり、自由な時間があったことも自分の時間にとっては追い風だった」と振り返っています。化学オリンピックや数学オリンピックなどにも挑戦したほか、無遅刻・無欠席の皆勤賞だったそうです。

© 株式会社中国放送