平和公園や基町アパートへ… ウクライナ政府関係者が広島の復興に学ぶ

5月のG7広島サミットでは、ロシアの侵攻が続くウクライナへも支援も重要なテーマとなりそうです。そのウクライナの副大臣らが広島の復興から学ぼうと、研修に訪れています。

平和公園を訪れた一行。その中にウクライナ政府でインフラを担当している省庁の副大臣や自治体関係者など、6人の姿が…。

「75年間、草木も生えぬ」といわれた廃墟からよみがえった広島の復興から学んでもらおうと、世界銀行が8か国の政府関係者らを招いて、13日から開いている研修に参加するため、広島を訪れました。

14日は、広島市の戦後復興について、平和記念都市建設をどのように進めたかなど、専門家から説明を受けました。ロシア軍の攻撃で甚大な被害を受けた、国内のインフラを担当するウクライナ政府の副大臣。今回、なぜこの研修に参加したのでしょうか。

ウクライナ アナ・ユルチェンコ副大臣(地域社会・領土・インフラ開発)
「(ロシアによる)ウクライナのさまざまな地域の占領後、多くの都市や村が破壊されたことが分かった。わたしたちはこの領土の計画を、ゼロから始める必要があることを理解していて、この全ての問題にどうやって対処するか、復興に関する外部の専門家を見つける必要がある」

研修には、攻撃で直接、被害を受けた自治体関係者も参加しました。ウクライナ南部、ミコライウ市の市長もその1人です。

ウクライナ ミコライウ市 オレクサンドル・シンケヴィチ市長
「学校や幼稚園・ビル・居住地域などの40%が破壊された。(去年は)46日間を除いて、ほぼ毎日、爆撃を受けていた。わたしたちは都市をよりよく立て直した広島の経験を必要としている。広島の経験をわたしたちの再建のプロセスに利用したい」

最後に訪れたのは、原爆で被害を受けた中心部の住宅問題を解決するため、1978年に完成した市営基町高層アパートです。こちらでは、参加者から質問が相次ぎました。

参加者
「ホテルの部屋くらいの広さ?」

広島市の担当者
「もう少し広い」

ウクライナ ミコライウ市 オレクサンドル・シンケヴィチ市長
「わたしたちはこの経験から学びたい。なぜなら、わたしたちもたくさん破壊されたビルがあるから。広島が再建した経験に基づいて、わたしたちも新しい建物を建てないといけない。そこに人々が住めるように」

インフラ担当の副大臣は、今回の広島訪問について復興担当の副首相にさっそく報告すると話しました。

ウクライナ アナ・ユルチェンコ副大臣(地域社会・領土・インフラ開発)
「わたしはけさ、副首相とすでに連絡をしていて、ウクライナの復興に関するいくつかの問題について議論した。わたしは日本の経験がウクライナでも活かされるべきだと思っている」

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