「特別抗告の断念を」“袴田事件”再審開始決定で広がる支援の輪 ボクシング界や超党派議員連盟が申し入れ

いわゆる袴田事件で東京高裁の再審開始決定が出されたことを受け、検察に対して特別抗告を断念するよう求める動きが3月15日も広がりを見せています。再審開始の決定を受けた袴田巖さん(87)の姉は徹底抗戦する構えですが、支援の輪が広がっています。

<袴田巌さんの姉 袴田ひで子さん>

「巌に言い聞かせるっていうより、自分に言い聞かせるように『もう大丈夫だよ、安心しな』って言って話したんですが、多分通じたと思う」

多くの報道陣が集まる中、浜松市の自宅で会見を開いたのは袴田ひで子さん。東京高裁が3月13日に出した再審開始の決定を巖さんに伝え、大丈夫だからねと話したといいます。

1996年、現在の静岡市清水区で一家4人が殺害されたいわゆる袴田事件。死刑が確定している袴田さんに対し、東京高裁は13日、再審=裁判のやり直しを認める決定を出しました。ただ、今回は再審開始が認められたものの、検察による特別抗告で審理が継続される可能性は残っています。

<袴田ひで子さん>

「検察の特別抗告っていうのは権利だろうからやると思う。これは無理だって言っても無理なことをやるのが検察ですよ」

こうした中、この特別抗告を食い止めようという動きが広がりを見せています。元プロボクサーである袴田巖さんの無実を訴えてきた日本ボクシング協会は15日午後、検察庁を訪れ、速やかに再審を開始させるよう申し入れました。

<日本ボクシング協会 新田渉世事務局長>

「検事長に伝えたいという気持ちで、入室した全員がひと言ずつしゃべった。全世界にツイッターでも展開していて、さっそく(世界最大のボクシング団体WBCの)スライマン会長が、世界のボクシング協会宛てに、そのツイートを拡散してくれている」

また、同じく袴田さんを支援する党派を超えた議員で構成する議員連盟は、申し入れ書を法務省に提出、特別抗告の断念を求める考えを伝えました。

<袴田巖死刑囚救援議員連盟 塩谷立会長>

「特別抗告を絶対阻止してほしいと、法務大臣には指揮権を発動していただいて、よろしくお願いしたい」

検察庁を所管する齊藤健法務大臣は14日の会見で、東京高裁が捜査機関による証拠ねつ造にまで言及したことについて、「法務大臣としてこの場で所感を述べるというのは差し控えたい」と回答を避けました。

検察による特別抗告の期間は3月20日までで、抗告をすれば、審理の場は最高裁に。特別抗告をしなければ、静岡地裁で再審が開始されます。

© 静岡放送株式会社