「“血痕には赤み残らない”科学的メカニズムで認定」東京高裁はどう判断?“袴田事件”再審開始決定

1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で、東京高裁は3月13日午後、弁護団の再審請求を認め、袴田巖さん(87)の再審=裁判のやり直しを決定しました。今回の差し戻し審の大きな争点となったのは「5点の衣類」の血の色の変化です。

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「5点の衣類」は袴田さんの犯行着衣とされ、少なくとも1年以上はみその中に漬かっていたとされていました。今回、最高裁からの差し戻し審で東京高裁は1年以上みそに漬かった場合、この血痕に赤みが残るのか専門的知見によって科学的メカニズムの解明を求めていました。

再審開始決定を知らせるのぼり旗を持つ弁護団=3月13日午後2時頃、東京高裁

東京高裁は今回の決定で、弁護団の実験による科学的メカニズムによって、5点の衣類の血痕には赤みが残らないと認定でき「新証拠といえる」としました。袴田さんが逮捕前に入れたとすれば、みその中で1年以上衣類はあったことになります。

また、東京高裁は「袴田さん以外の第三者がみそタンク内に入れた可能性は否定できない」としました。2014年の静岡地裁の決定では「5点の衣類がねつ造された可能性」という表記もありましたが、その記載はありませんでした。一方で、「第三者には捜査機関も含まれ、事実上捜査機関の者による可能性が極めて高いと思われる」としています。

今回5点の衣類以外に袴田さんの犯人性を認定できるものは見られないとし、再審の決定になったといえます。また、袴田さんの身柄に関しては、東京地裁と同じく、袴田さんが無罪になる可能性、再審開始に至る経緯、健康状態などと照らし合わせても、「静岡地裁の決定が相当」という判断をしました。

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