春のセンバツ甲子園 大分商業の投打の核となる選手たち(1) 【大分県】

「第95回選抜高校野球大会(センバツ)」が18日に開幕する。大会2日目に登場する大分商業。筋力強化を課し、ひと冬を越えてたくましくなった選手たち。大一番を前に、ここでは投打の核となる選手を紹介する。

児玉迅(2年/投手/173cm・73kg/右投右打)

中学まで投手だったが、高校入学当初は野手を希望し、内野手用のグローブを新調した。初日の練習で当時の監督から「お前はピッチャーの方がいい」と言われ戸惑うも、同学年の守備のスペシャリスト上田迅人の守備技術の高さを見て、「レベルの差を感じた。ピッチャーの方が試合に出られるチャンスがあると思った」と使い慣れたグローブをはめることになった。

野球に対し真摯に取り組み、責任感が強い。1年生の頃から児玉の努力する姿を見てきた長吉勇典部長は「自分で課題を見つけ、一人で黙々と練習してきた」と話す。

昨秋の九州地区大会では3試合全てで先発投手としてマウンドに上がった。「守備から試合をつくる」ことを意識し、先発としての役割を果たしたが、児玉自身が納得できる内容ではなかった。「球速が上がれば、打たせて(アウトカウントを)取る投球に幅が出る」と大会後は走り込みで下半身を強化した。これまでは、力めば一塁方向に体が流れたが、踏ん張ることができるようになり球速は136キロまでになった。速球を武器に2種類のカーブとスライダー、チェンジアップを加え、確実に投球の幅は広がった。

「球筋にこだわりたい。バックを信じて、ロースコアに持っていきたい。負ける気はしない」と、憧れの甲子園のマウンドでは強気な投球でチームを引っ張る覚悟だ。

大道蓮(2年/二塁手/167cm・73kg/右投左打)

個性豊かなチームメートをまとめるキャプテンは、グラウンド上の監督だ。長吉部長は「気配りができ、指導者が気づいたことを言う前に選手に伝えてくれる。おかげで私の仕事はない」と絶大な信頼を寄せる。マネージャーの評判もすこぶる良い。「キャプテンシーがあり、チームの精神的支柱」と口をそろえる。

練習から誰よりも大きな声を出し、雰囲気を盛り上げる。チームが掲げる「日本一の元気」を体現する選手の一人だ。全力プレーを信条とする大道は、今冬に課された筋力強化に全力で取り組み、9kgの増量に成功した。「力強さが出て、スイングスピードも上がった。長打が打てるようになった」と好感触を口にした。

練習試合でも快音を響かせ、調子は上がっている。「堅実な守備と粘り強いバッティングでチームの勝利に貢献したい」と、まずは甲子園での1勝を目指す。浮かれた様子はなく、春のセンバツ甲子園は通過点と捉えている。「本命は夏。そこに照準を合わせて、今できることをこの大会で確かめたい」と、さらなる高みへの決意を語った。

(柚野真也)

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