「失ったものでなく得たものを」コロナ禍の大学生活 卒業生たちの思いを聞いた 

社会人として新たな一歩を踏み出します。広島経済大学の卒業式が16日、行われました。学生生活の大半がコロナ禍だった卒業生たちに思いを聞きました。

新型コロナ対策の緩和により、2年ぶりに広島市の上野学園ホールで開かれた卒業式。会場を晴れ着姿の学生が彩ります。広島経済大学の学生と大学院生、計746人が門出を迎えました。卒業生にとって、大学生活の大半がコロナ禍でした。

広島経済大学 石田優子 学長
「(コロナ禍で)学生生活でできなかったことに焦点があてられるが、失ったものでなく、得たものを数えて、堂々と胸を張ってほしい」

広島経済大学でも、コロナ禍でオンライン授業への移行やさまざまなイベントの中止を余儀なくされたといいます。

卒業生代表 高宮あい梨 さん
「何気ないことで笑い、時にぶつかりながらも、助け合った仲間との日常の尊さにあらためて気がついた。大学生活で得た知識や経験を生かし、社会に貢献していきたい」

式が終わり、広場に集まってきた学生たちに4年間の思い出を振り返ってもらいました。

貞廣感 さん
「バドミントン部の主将を2年続けたので、継続力や人をまとめる力がついた。部員の士気が下がったこともあったが、コロナ禍でも活動を続けることが大切だ」

一色青空 さん
「コロナ禍でなかなか友達と会えない期間が長かったが、仲のよい友達と卒業することができてうれしい。あこがれの人がいるので、その人に早く近づけるように4月からがんばりたい」

卒業生 西野真李花 さん
「完成後に作品を見てすごく喜んでくれて、『多くの人に見てほしい』と言ってもらえたことがうれしかった」

西野さんたちは、「黒い雨」のことを大学の講義で知り、実際に体験した人たちのもとへ何度も通いつめました。裁判を経て、その人たちが、「被爆者」と認められるまで密着して、作品を完成させました。

その後、西野さんたちは、核兵器廃絶などを訴える大会でスピーチをしたり、作品が全国の数あるドキュメンタリーの中で学生初の「審査委員特別賞」を受賞したりしました。

この春、2人はメディアの道に進みます。

東京の制作会社へ 奥原芽衣子さん
「ほぼ初めてカメラを触る状態だった。最初は右も左もわからずだったが、人の表情や美しい景色を撮って伝えることができる『カメラの魅力』に気づけた」

山口の放送局へ 西野真李花 さん
「4年で取材力や相手に向き合う力をつけてこられた。多くの人に考えてもらったり行動を起こしてもらったり、よりよい地域に導けるような報道がしたい」

学生自らが、自分の将来や成し遂げたい目標を掲げ、新たな一歩を踏み出します。卒業生たちは、4年間の思いを胸に学び舎を巣立ちました。

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