「再開という話すら出ない」浜名湖の潮干狩り5年連続中止に アサリ減少の原因と対策判明も回復見込めず

浜名湖名物の弁天島周辺の観光潮干狩りが2023年も中止の方針となりました。中止は5年連続、地元の観光関係者は予想はしていたが残念と本音を漏らしました。

先週、浜名湖には愛知から観光客が訪れていました。観光潮干狩りの中止を伝えると。

<観光客>

「やっとコロナも落ち着いたから家に閉じこもっていたお子さんたちとかも家族連れとかがこういうとこに来て潮干狩りができたらいいと思いますが残念ですね」

「ちょっと寂しいですよね。にぎやかさがないし、ゴールデンウィークとかもちょっとね、こちらの旅館の方とかいろいろなお店もせっかくあるのに大変だなと思います」

潮干狩りは春から夏にかけて、浜名湖の風物詩として最盛期の1980年代には約30万人の観光客が訪れました。しかし、漁獲量は2009年の約6000tをピークに減少が続き、2021年と2022年は200t以下と記録的な不漁が続いています。

2013年には初めて観光潮干狩りが中止。時期を短縮して開催する年もありましたが、全面的な中止は5年連続です。

<浜名漁協 渥美敏組合長>

「潮干狩りの再開というのは、そういう話すら出ない状況です」

減った原因の一つとして、上がっているのがクロダイの食害。強力なあごでアサリを砕いて食べるクロダイの動きが活発になります。

<浜名漁協 渥美敏組合長>

「冬の水温が高いことで冬に湖内に留まるっていうことがかなり影響していると思います」

これまでクロダイは、冬の間は遠州灘に出ていましたが、温暖化の影響などで一年中浜名湖に留まるようになり、食害の被害が一層、深刻化しています。

そのほか、下水道の発達により水質が浄化され、アサリの栄養分となる植物プランクトンが少なくなってきたことも大きな要因の一つとされます。

<浜名漁協 渥美敏組合長>

「アサリっていうのは漁師だけの資源ではないと。地域全体の宝であると。少しでも早く回復できるようにしていきたいと思っています」

原因と対策は分かり始めてきましたが、まだ、回復は見込めていません。

<舞阪町観光協会 渭原庸雄会長>

「ある程度予想した結果でございますので、大変残念ではありますが、仕方がないことだと思います」

地元では新鮮な魚介類を集めた朝市など、潮干狩りに代わる新たな観光資源を発掘し、集客を図ろうと必死です。

<舞阪町観光協会 渭原庸雄会長>

「努力をして試行錯誤していろいろな商品をこれから出して皆さんにふるまって、ますます口コミでも何でもいいからこちらに来ていただきたいと思っています」

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