トラクション不足のプジョー9X8「“特殊な”セブリングで何かの結論を出すことはない」と責任者

 プジョー・トタルエナジーズの94号車プジョー9X8でWEC世界耐久選手権に参戦しているロイック・デュバルは、開幕戦セブリングの予選でチームが予選8&9番手となったことについて、「望んでいる場所にはいない」と表現した。

 デュバルがドライブする94号車は、3月16日に行われた第1戦の予選で、ポールシッターのフェラーリ499Pから2.388秒遅れ、姉妹車93号車のミケル・イェンセンも3.138秒遅れる結果となった。

 予選を終えたデュバルは、「クリーンな走りができた。夕陽のせいで視界は悪かったけど、それは全員にとって同じだ」と語った。

「これまでの(自分たちの)最速のラップであるクリーンなラップを2周したので、その点はポジティブだ」

「唯一のネガティブな点は、僕たちがこのゲームで望んでいる位置にいないことだ。ポルシェの近くにはいるけれど、もっと前にいたいんだ」

「僕らにとって、ここはタフなトラックだ。僕らも改善はしている。予選はひとつのステップだったし、レースはもうひとつのステップとなる。クリーンなレースを目指したいし、コンペティティブで、タイヤの安定性を保ちたい」

 ステランティス・モータースポーツ代表のジャン・マルク・フィノーは、プジョー9X8は今週ずっとコーナー出口でのトラクションに苦労してきたと付け加えた。

 プジョー9X8はフロントアクスルにハイブリッドシステムを搭載しているが、BoP(性能調整)によって車速が150km/hに達してからの作動が許されている。

 フィノーは予選後「もっとうまく、もっと速く走れたはずだ」と語った。

「我々はこの1週間をスタートさせ、このコースを理解した。我々にとっては新しいコースだ。コースがバンピーなのが印象的だった」

「我々はいくつかのトラクションの問題を抱えてた。我々のクルマのフロントにパワーを与えることは非常に難しいなか、週の初めから大きな進歩を遂げた」

「3秒か4秒近く(ペースが)接近したが、まだ充分ではない。2秒はまだ足りない」

「フロントアクスルのモーター作動速度に達していない場面では、パワーを路面に伝えるのに苦労しているんだ」

 フィノーは、他のハイパーカー・チームと比べたプジョーのペース不足は、来月WECが“より一般的なサーキット”を訪れるまで、正しく判断できないことを示唆した。

「ここセブリングは非常に特殊なサーキットなので、さまざまなサーキットでレースをする前に、何かの結論を出すことはない」と彼は語った。

「(第2戦)ポルティマオや(第3戦)スパが終われば、何らかの結論が出るかもしれない。今日は、このコースの経験不足と(その)特殊性を考えると、ランキング(勢力図)を作るのはとても難しい」

 プジョーは昨年、モンツァ、富士、バーレーンの3レースでWECデビューを果たしたが、好調なペースを見せたものの3レースとも信頼性に問題があった。その問題を解決するため、オフシーズンにプライベートテストを行ったが、セブリングで9X8を走らせたのは先週末のプロローグテストからだった。

 セブリングの決勝でトラブルのないレースをする自信はあるかと尋ねると、フィノーはこう答えた。

「このレースでは、非常にアグレッシブでバンピーなコースを1000マイル走るので、新しい問題が見つかるかもしれない」

「この8時間は、標準的なコースで24時間走ったときのストレスに近い。レース中に何か発見があるかもしれないと思っている」

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