「藤井六冠」誕生にファン歓喜 日光で棋王戦第4局【動画】

花束を手に笑顔を見せる藤井六冠=19日午後9時10分、日光きぬ川スパホテル三日月

 栃木県日光市鬼怒川温泉大原の日光きぬ川スパホテル三日月で19日に行われた第48期棋王戦5番勝負第4局。ホテルに設けられた大盤解説会場では、県内外の将棋ファンらが挑戦者の藤井聡太(ふじいそうた)五冠(20)と渡辺明(わたなべあきら)棋王(38)が繰り広げる熱い対局の行方を見守った。勝敗が決し「藤井六冠」の誕生が決まると、両者をたたえる拍手喝采が湧き起こった。同時開催された「とちぎ将棋まつり」も指導対局などを楽しむ親子連れらでにぎわった。

 午後1時半に同ホテルで始まった大盤解説会には、子どもからお年寄りまで将棋ファン約200人が参加した。

 壇上では、プロ棋士たちが大きな将棋盤を使い展開の予想や各手の意図などを解説。対局の中継画面も映し出され、参加者たちは腕を組み、時折うなずきながら見守った。

 藤井新棋王の長年のファンという茨城県ひたちなか市、公務員堀内由記子(ほりうちゆきこ)さん(55)は「歴史的瞬間に立ち会えて感無量。生涯忘れられない日になった」と、うれし涙を流した。北海道など全国から集った「応援仲間」と共に見守った対局。「きっと六冠を取ってくれると信じていた」と笑顔で喜びを分かち合った。

 親子で初めて大盤解説会に参加したという宇都宮市、宇都宮大付属小6年田村麻結(たむらまゆ)さん(12)は「最後の最後までどちらが勝つか読めない将棋で、ずっと楽しかった」と振り返った。母親のテル子(こ)さんは「藤井さんの華やかな指し方のファン」。「間近で2人やプロ棋士の方々を見られてうれしかった」と笑顔で話した。

 終局後、大盤解説会場には両対局者が登場。待ちかねた参加者たちは盛大な拍手で出迎え、2人の振り返りの言葉に聞き入った。

 一方、とちぎ将棋まつりでは小学生の将棋大会なども行われた。鈴木大介(すずきだいすけ)九段らプロ棋士による指導対局会には33人が参加した。

 伊藤匠(いとうたくみ)五段から指導を受けた宇都宮市今泉小6年二上輝琉(ふたかみひかる)君(12)は「歩や飛車の使い方が特に勉強になった」と振り返る。「将棋の強い人たちがたくさん来ていて、気持ちが盛り上がった」と会場の熱気を感じていた。

渡辺棋王と藤井五冠の対局に注目が集まり、大勢のファンが集まった大盤解説=19日午後3時10分、日光きぬ川スパホテル三日月

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