刃物男、カウンターへ出したメモに「300万円入れて」…郵便局員ら大声「強盗だ」じつは訓練 最優先は何か

カウンター越しに女性職員に刃物を突き付け、現金を要求する犯人に扮した東入間署員(右)=三芳町北永井、いるま野農協三芳支店

 2月16日、埼玉県川口市内の郵便局で刃物を持った男が職員2人にけがを負わせ、現金を奪った強盗致傷事件を受け、強盗事件発生の際の対処能力の向上と危機意識を醸成してもらおうと、東入間署は3日、三芳町北永井、いるま野農協三芳支店(島崎敏男支店長、行員17人)で強盗模擬訓練を行った。    訓練は営業時間中、刃物を所持した男が客を装って侵入することを想定。白いマスクを着けた同署の男性警察官が鞄を持って窓口を訪れ、カウンター越しに女性職員に模造のナイフのような刃物を突き付け、「強盗です。300万円をバックに入れて下さい」と書かれたメモを出した。

 異変に気付いた職員らが「強盗だ」と大声を出し、緊急通報装置を作動させたため、男は何も取らずに出入り口からそのまま逃走。職員らは出入り口近くまで男を追跡する一方、逃走した経路を保存した。数分後、駆け付けた警察官らは職員らから犯人の特徴など事情聴取を行った。

 窓口で犯人役に対応した同支店員の新井真由美さん(49)は「強盗の模擬訓練は2回目だったが、川口の事件があったばかりなので、身近に感じており、今回は対応を考えるよい機会になった。この経験を業務に生かしていきたい」と話した。

 訓練を講評した同署生活安全課の佐藤耕一課長は「川口の事件で犯人はカウンターの板も乗り越えており、強盗は危険であることを再認識し、自分の安全を最優先に要求には逆らわず、不審者がいたらためらわず緊急通報装置を作動させてほしい」と日常の心構えの大切さを強調した。

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