「福井の田舎町の狭い社宅の片隅で…」サイバーエージェント藤田晋氏、古里での思い出とともに3年後に社長職退く意向示す

サイバーエージェントの藤田晋社長=2016年4月、東京都内のホテル

 IT大手サイバーエージェントの藤田晋社長(49)=福井県出身=は3月20日、3年後の2026年に新たな社長を社内から昇格させ、自身は会長に就く意向を表明した。同日更新したブログで明らかにした。また生まれ育った福井県での思い出を含め、これまでの日々への思いもつづった。

 藤田氏は同社を創業した1998年から社長を務める。サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会の全試合無料中継で注目を集めたインターネットテレビ「ABEMA」を含むメディア事業や、ネット広告事業などを展開している。

 藤田氏はブログで「生まれてから18歳までを過ごした福井県の田舎町の狭い社宅の部屋の片隅で、カセットテープを入れたウォークマンを耳に当て、いつも爆音で音楽を聴いていました。民放が2局しか映らない福井県ではプロ野球は巨人戦しか放送していないため、県民の多くが巨人ファンで、それに反発するように阪神を応援していました」と古里で過ごした日々をつづり、「テレビ越しに映る華やかな世界と、自分の置かれた環境とのギャップを強く意識し、深夜のラジオの向こうからは都会の人々の息吹を感じていました」と若かりし日の思いを明かした。

⇒藤田氏が生まれ育った鯖江市のニュース一覧

 また創業25年を迎えたサイバーエージェント社について「(同社は)20代や30代の若いうちから活躍できるのが組織の活力の源泉」とした上で、「だからこそ象徴的な社長がずっと変わらないことを避けたい」と理由を説明。その後については「その先しばらくは私が会長兼CEOとして伴走し、うまくサクセッションが成功すればどこかのタイミングで身を引くつもりです。どうしても難しければ会長兼CEOとして引き継ぎ可能な会社になるまで、ずっと何年でも仕事を続けるつもりでいます。無責任な引き継ぎをするつもりはないので、心配な関係者の皆様はご安心くださいませ」とした。

© 株式会社福井新聞社