「1日1日を大切に生きて」夭折の“名セッター” 藤井直伸選手の思い 選手もファンも心に刻む

バレーボール男子Vリーグ・東レアローズのセッターで、東京五輪代表だった藤井直伸選手(享年31)が胃がんのため、3月10日に亡くなりました。18日と19日に沼津市総合体育館(静岡県沼津市)で行われたVリーグ・ディビジョン1のJT広島との2連戦は藤井選手を悼む試合となり、チームメートもファンも感謝と哀悼の意をささげました。

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31歳の若さで亡くなった藤井直伸選手

藤井選手は宮城県石巻市出身のセッターで、東レの主力としてチームをけん引したほか、2021年の東京五輪にも出場するなど、活躍を続けてきました。

2022年2月、藤井選手は自らのSNSでステージ4の胃がんと診断されたことを公表し、それでも「前を向いてこの病気に打ち勝つ」と強い意志を示していましたが、31歳の若さで帰らぬ人となりました。

沼津市総合体育館での試合は、藤井選手亡き後、迎えた初めてのホームゲームとなりました。会場にはメモリアルコーナーが設けられ、早すぎた別れを惜しむファンの姿がみられました。

藤井選手が出前授業したという小学校の教諭は「藤井選手のメッセージから1日1日を大切に生きることが大事だと子どもたちに教えてくれた。(子どもたちは)17日に卒業式を迎え、そんな思いを持って巣立って行った」と面影をしのんでいました。

18日の東レ対JT広島の試合では、名セッターへの弔意を示す黙とうがささげられました。上位4チームで争うファイナルステージに前進し、藤井選手にも「勝利を届けたい」と東レの選手たちは奮闘。セットカウント1-3で惜しくも敗れましたが、第4セットは36-38と粘り、藤井選手にあきらめない姿を届けました。

東レは翌19日、逆にセットカウント3-1で雪辱、ホーム最終戦で藤井選手に白星を贈りました。東レは22勝12敗として、3月25、26日のウルフドッグス名古屋との2連戦にファイナルステージ進出をかけます。

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