できない人と見られたくなかった…三郷市水道談合、元市職員に懲役1年6月求刑 弁護側は執行猶予求める

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2018年7月、埼玉県三郷市が発注した工事の一般競争入札で予定価格情報を業者に漏らしたとして、官製談合防止法違反と加重収賄の罪に問われた、元同市水道部施設課主幹兼施設係長で無職の男(51)=同市泉2丁目=の論告求刑公判が22日、さいたま地裁(中桐圭一裁判長)であった。検察側は1年6月などを求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は4月17日。

 論告で検察側は、公務員の職務を著しく害しており、犯行態様は悪質と指摘。入札不調を恐れて違法行為に手を染めており、「身勝手で短絡的な犯行」と述べた。

 弁護側は弁論で、男は反省しており、賄賂として受けた額は計約11万円で同種事案の中では高くないとした。

 男は被告人質問で「係長になって最初に任された大きな案件で、仕事のできない人と見られたくなかった」と回答。「三郷市民には大変申し訳ない。職場にも迷惑をかけた」と反省を口にした。

 起訴状などによると、男は、18年8月6日に執行した水道工事一般競争入札で、県内に営業所を持つ水道工事会社の取締役と営業担当の男性2人=いずれも贈賄罪、時効成立=に予定工事価格に近い額を教えて入札、落札させ、その謝礼として、同年7~11月までの間、7回にわたり計約11万円の飲食接待などを受けたとされる。

 同市は17日付で、男を地方公務員法に基づき免職の懲戒処分としている。

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