ElevationSpace、JAXAと東北大学学際研と共同でハイブリッドスラスタ開発を加速

ElevationSpaceでは、小型宇宙利用プラットフォームの事業化に向け、小型衛星を地球に帰還させるためのハイブリッドスラスタの開発を進めている。

同共同研究では、JAXA・東北大学学際研・ElevationSpaceの三者がハイブリッドスラスタへの着火技術に関して検討・実証を行い、高い安全性と低コストを実現するハイブリッドスラスタ実現に向けて、開発を加速していくとしている。

すでに複数回の燃焼試験を行い、ハイブリッドスラスタ試作機に対する着火に成功。また、着火特性に対して再現性があることが確認された。さらに、宇宙空間を模擬した真空環境下において、同様に着火及び再現性確認に成功しており、高い信頼性を獲得している。

現在は、宮城県内に燃焼試験場を設置し、より実機に近い形態での燃焼試験を行う計画だという。

東北大学学際科学フロンティア研究所の齋藤勇士助教は、次のようにコメントしている。

齋藤氏:ハイブリッドスラスタは、プラスチック等の固体燃料と気体/液体の酸化剤の組み合わせを推進剤とする推進機です。その着火システムの研究開発は国内外で活発に行われており、ガストーチ方式、アーク点火方式などが先行する研究開発事例として挙げられます。一方で、小型衛星に搭載できる安全で小型な冗長性を有した着火システムは開発されておらず、ELS-Rの開発初期より懸念点として挙げられておりました。そこで、本着火技術は独創的なアイデアで既存技術の課題を克服し、共同研究関係者皆様のご協力のもと燃焼試験にて高い信頼性を確認しました。

開発した着火技術により、高い安全性と低コストを実現するハイブリッドスラスタの開発を加速していきます。

小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」

ElevationSpaceの小林稜平代表取締役CEOは次のようにコメントしている。

小林氏:これまで基礎科学的な実験から創薬などの産業利用まで幅広く利用されてきたISSは、2030年に退役することが決定しており、その後の宇宙環境利用に関する検討は大きな社会課題になりつつあります。

ElevationSpaceは、ISSに代わる日本初の宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」の提供を目指し、2025年に技術実証機ELS-R100の打ち上げを予定しています。 「ELS-R」は、無人の小型衛星を利用して材料製造や宇宙実証を行うことができるサービスですが、実験後の物資を地球に帰還させ回収するためには、軌道を離脱する大きな推力が必要となります。

本共同研究を通して、高い安全性と高い推力を両立する小型スラスタを開発・実証し、ハイブリッドスラスタ実現に向け、研究開発を加速してまいります。

▶︎株式会社ElevationSpace

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