「路線が存続するように…」JR芸備線カープ号の特別列車 企画に協力した中高生を乗せて走る 広島

芸備線を走っているカープのラッピング列車「カープ号」です。路線が存続するように…という市民の願いで企画されたものですが、企画に協力した広島県の中高生が19日、魅力を体験しました。

末川徹 記者
「午前10時半過ぎ、JR三次駅です。ホームに1両の列車が到着しました。通常ダイヤにはない、特別列車です」

JR備後落合駅に向け出発するカープ号です。これは、庄原市民の有志でつくる「芸備線にカープ号を走らせる会」のメンバーが企画したもので、芸備線沿線にある高校や中学校の生徒24人が招待されました。

利用客の減少で、一部区間での「廃線」も懸念されている芸備線。そこで思いついたアイデアがカープのラッピング列車を走らせることでした。

芸備線にカープ号を走らせる会
「カープ号を走らせましょう。募金よろしくお願いします」

ラッピングにかかる費用300万円は、企業や個人などの寄付に加え、「たる募金」でまかないました。広島市東区にある広島城北学園も「たる募金」に協力した学校の1つでした。

募金呼びかけ 広島城北高校 内藤秀貴 元生徒会長
「城北生は、芸備線で通学している。その一環で手伝えるのではと思い、(募金を)始めた」

カープ号の運行が始まり、約1年4か月。「芸備線にカープ号を走らせる会」は、これまで協力してくれた生徒たちに感謝の思いを伝えようと、特別列車を用意しました。JR芸備線は、途中、山や川にはさまれ、列車の速度が変わりやすいことも特徴の1つです。

高校生
「岩のところに水が流れている場面を見て、きれいだと思った。ここまで列車で来ることがなかったので落ち着く」

三次ー備後落合間を往復すること、約3時間半。生徒たちは、途中下車したそれぞれの駅で地元のボランティアなどからおもてなしを受けたり、ご当地マスコットと記念撮影したり、芸備線沿線での「人とのつながり」を肌で感じていました。

カープ号は当初、2023年3月末で運行は終わる計画でしたが、住民などの強い希望もあり、2023年12月までの延長が決まりました。

芸備線にカープ号を走らせる会 住田則雄 事務局長
「沿線の人たちが、『自分でお金を出して実現した』思いがないと、喜んでもらえなかった。今後、何ができるのか話し合っていきたい」

カープ号が、芸備線活性化への十分な解決策だといえるわけではありません。ただ、存続という1つの目標に向け、何かできることはないか…。地元で模索が続いています。

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芸備線の活性化に向け、生徒からは複数の意見が出されました。
・車内アナウンスに広島ゆかりの有名人を採用する
・お花見列車など、県北の自然を生かした特別列車を運行する など

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