ベネチア出身シェフが愛情を注ぐ本場ピザ、パスタ…福井市のイタリア料理店「ピッツェリア グランカルマ」

「イカ墨スパゲッティー」(手前)とピザ「ボスカイオーラ」=福井県福井市のイタリア料理店「ピッツェリア グランカルマ」

 ランチの王道とも言えるイタリア料理。宅配やコンビニを含め、ピザやパスタにはいつもお世話になっておりますが…自称“食べある記者”としては、本場の「定番メシ」を味わっておきたい。福井県福井市の住宅街に2022年夏に開店したイタリア人シェフの店「ピッツェリア グランカルマ」を訪ねた。

 店に入ると目に飛び込んできたのが、大きくて真っ赤なドーム型のピザ釜。現地では暑い時に熱い料理を食べる習慣があるそうで「夏にテラスでビール片手によく食べるよ」とベネチア出身の店主マスッティ・シルバーノさん(56)。夏はまだ先だが、想像しただけでよだれが…。

 直径30センチほどあるだろうか。香ばしいにおいと共に、釜から取り出されたのは「ボスカイオーラ」というピザ。日本語では「きこり風」と訳され、森で採れる食材を使う料理のことだそう。とろっとろにとろけたモッツァレラやパルミジャーノ・レッジャーノなど3種のチーズはいずれもイタリア産。その上にたっぷりのマイタケやシメジ、エリンギが踊る。いやいや、これ絶対おいしいやつだ。

 ぱりっぱりに焼き上がったクリスピータイプの生地は、切ると縁の破片が飛び散るほど。熱々をほおばれば、鼻に抜けるキノコの風味がもう最高。チーズを巻き付け食べ進めるうちに、風光明媚(めいび)なイタリアの山岳地帯が目に浮かんできた(テレビでしか見たことないけど…)。

 ベネチアは「水の都」と呼ばれるだけあって海の幸も豊富。もう1品の「イカ墨スパゲッティー」は、墨が濃厚なコウイカを使うのが本場流だ。ソースが絡みまくった細めのスパゲティはツヤツヤの真っ黒。インパクトある見た目におののきつつ食べると…むちゃくちゃボーノ(おいしい)ですわ。ほどよい塩気と磯の香りが口に広がり、身は肉厚なのに柔らかい。口の周りはイカ墨まみれだけど、気にしない気にしない。

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 「本当のイタリア料理を食べてほしい」とシルバーノさん。「自分の料理への愛情が伝わるかな」。お客の反応が気になり厨房から様子をのぞくのは昔からだそう。この真っ黒になった口元を見れば、一目瞭然でしょう。

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 ◇ピッツェリア グランカルマ 福井県福井市加茂緑苑町406。営業時間は午前11時半~午後2時と同5時半~同9時。火曜、水曜定休。電話0776(65)3867。

【秘伝レシピ】白身魚の酢漬け

 さわやかな酸味が食欲をそそる白身魚の酢漬けはベネチア定番の家庭料理。現地ではイワシを使うが、サワラなどの白身魚やエビ、イカでもOK。1日漬け込むと、味がしっかりなじみよりおいしく食べられる。

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