山王神社の「長崎原爆遺跡」調査 範囲拡大に「文化財的価値」 長崎市、4月にも国に報告書

山王神社の調査報告書の完成を報告する下川会長(左)=長崎市役所

 長崎県長崎市は、国指定史跡「長崎原爆遺跡」の史跡範囲拡大などを目的に調査を進めていた山王神社(坂本2丁目)の調査結果をまとめ、「既に指定を受けている遺跡と共通の文化財的価値がある」と総括した。今後、同神社側との協議を踏まえ、史跡指定を目指す。
 長崎原爆遺跡は市内五つの遺構で構成し、爆心地から約800メートルの同神社の「二の鳥居」が含まれている。調査は2016年に着手し、17~22年度、指定を受けていない境内地に主に焦点を合わせ、発掘調査などを実施した。
 29日、長崎原爆遺跡の調査検討委員会の下川達彌会長(活水女子大特別教授)が長崎市役所で、田上富久市長に調査結果の報告書を提出した。
 報告書には、同神社の歴史的意義や境内にある石造物や被爆樹木の被爆による影響などを記述。各要素の保存活用の検討や追加調査といった課題にも言及した。報告書は4月にも文化庁に提出される予定。


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