「樺島灯台90周年祭り」最後の看守・中尾さん 地元住民との思い出語る 

地元住民との思い出を語った樺島灯台最後の看守、中尾さん=長崎市野母崎樺島町、樺島灯台公園

 長崎市の最南端にある樺島灯台(同市野母崎樺島町)初点灯から90年を記念し25日、「樺島灯台90周年祭り」があった。同灯台最後の看守で、元海上保安庁職員の中尾信幸さん(75)=同市富士見町=が講演し「町の人と一番触れ合った勤務地。都会では味わえない楽しい経験だった」と振り返った。
 野母崎地区の住民らでつくる「野母崎樺島地区コミュニティ連絡協議会」などが主催。同灯台は高さ11.8メートルの白色円形で、長崎半島沿岸を航海する船舶の道しるべとして1932年に完成した。当初は簡易気象観測業務を担い、看守長と看守の2人が常駐していたが、58年、同業務を廃止。71年、無線監視による自動無人化施設となった。
 中尾さんは70年に着任。無人化を見据えた工事への立ち会いや新機器の操作習得など忙しい日々を送りながら、多くの地元住民と交流した。「風呂屋からの連絡でよく一番風呂に入っていた」「天気が良い日には島のお嬢さんたちが弁当を持って訪れてくれ、一緒に食事をした」などと思い出を語った。
 祭りでは、灯台からの餅まきや、10年前のタイムカプセル開封などもあった。家族で訪れた同市の専業主婦、田中敬子さん(62)は「山桜が咲き景色がきれい。100周年の祭りも参加したい」と話した。

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