原爆資料館で外国人の来館が急増 その背景は? 広島

広島市の原爆資料館では、サミットを前に外国人の来館が急増しています。その背景に、何があるのでしょうか?

入り口から長く続く列。広島市の原爆資料館です。平日にもかかわらず、こうした状況が最近、連日続いているといいます。中でも目立つのが、外国人観光客です。

外国人観光客たち
「オーストラリアから来た」
「USA」

原爆資料館によりますと、今月の初めには1日2000人程度だった来館者数が、中旬ぐらいから倍の5000人程度に増加しています。1日当たりでいえば、年間で過去最多だった4年前の2019年度並みの勢いだといいます。

原爆資料館 細田益啓 副館長
「あちら東館だが、本館をまっすぐ国際会議場まで向けて人が並んでいる状態。日によっては、そこからUターンしてN字型のように並んでいる日もある」

増加の理由は、何といっても外国人観光客の急増です。今月初めには1日600人程度だったのが、今では連日、2000人程度と、入館者の半数近くを外国人観光客が占める日もあるといいます。なぜ、ここまで外国人が増えているのでしょうか?

原爆資料館 細田益啓 副館長
「プーチン大統領が核兵器の使用を示唆するような発言もしているので、海外の人々がこれは、ひとごとではなくて、わがこととして考えるような傾向になっているのではないか」

背景には、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、核兵器への関心の高まりがあるようです。ただ、理由は、ほかにもありそうです。

広島市内の大手旅行代理店。今のシーズンは日本の桜が見たいという外国人旅行客がコロナ禍前からもともと多かった時期でもあるといいます。それに加え…

近畿日本ツーリスト 広島支店 増本義伸 支店長
「1つは円安。欧米の方から見たら安価で選ばれる候補地だということ。もう1つはG7が広島で開催されるということで、露出が多くなっていることで、日本・広島を選択する(外国人)客が増えていると思う」

ただ、入館者の急激な増加に、原爆資料館も手放しでは喜べないようです。

原爆資料館 細田益啓 副館長
「多くの人に被爆の実相を見ていただくのは大切なので、1人でも多くの人が来られるのはいいことだと思うが、あまり人が多いと待ち時間が長くなるので、1人ひとりが十分に資料に向き合えないのではないかといったところは、懸念材料として持っている」

サミットに向け、こうした状況はしばらく続きそうです。

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