【くろしお】経済活動とSDGs

 以前、テレビ番組の街頭インタビューで、環境活動家グレタ・トゥンベリさんの訴えに対する感想を尋ねていた。するとビジネスマンの男性がひと言。「そうは言っても経済を回さなきゃならないでしょ」▼確かに現在の経済システムの中で持続可能な社会の実現を目指すのは簡単ではない。2015年に開かれた国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択。そこに30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標が掲げられた▼その目標がSDGsである。SDGsに向けた取り組みが世界で広がる中、宮崎日日新聞社が「宮日SDGs宣言」を行ったのは創刊80周年の20年。そして本年度、県内で模範となるSDGs活動に取り組む個人や団体を表彰する「宮崎日日新聞SDGs賞」を創設した▼記念すべき第1回の受賞者は日向市の旭建設。ICT(情報通信技術)を活用し、離れた場所から工事現場をコントロールする遠隔臨場や、無人化施工を推進。働き方改革を進め、人口減少や高齢化などの課題解決に取り組むことによって、地域経済の維持・発展に貢献したことなどが評価された▼また、同社は土木現場で女性のための環境整備に力を入れ、男女関係なく活躍できるよう努めているという。現行の経済システムの中にあっても、SDGsに沿った取り組みの可能性はたくさんある。そのことを体現する企業がさらに増えることを期待する。

© 株式会社宮崎日日新聞社