FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのデビューは英国から。王者が世界に先駆け投入/TCR UK

 2018年に創設されながら、その後の3年間をトロフィーとして実施。そして2022年に晴れてチャンピオンシップ戦に復帰したTCR UKシリーズにおいて、昨季チャンピオンを獲得したクリス・スマイリーが新型モデルを投入。所属するリスタート・レーシングは世界のどこよりも早くJASモータースポーツからのデリバリーを受け、今季デビューの新型『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』を走らせ、タイトル防衛に挑む。

 2022年開幕直前に、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権から主戦場を移す決断をしたスマイリーは、各国で主力機として活躍するFK8型タイプRのステアリングを握ると、スネッタートンで開催されたシーズン最終戦の週末までタイトル候補としてシリーズを牽引。ライバルのアイザック・スミス(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)を破って初のシリーズチャンピオンに輝いた。

 北アイルランド出身のスマイリーは、そのタイトル争いの渦中から「発表された新型モデルにスイッチしたい」との願望を公にしていたが、チームは今季シーズン開幕戦の少し前に、そのFL5が納車される予定であることを確認し、世界最速での実戦投入を果たすことが確定。チャンピオンカーたるFK8型は、チームメイトのスコット・サンプトンが引き継ぐかたちで2023年を戦う。

「ほかの誰よりも、シーズンの開幕をとても楽しみにしている。それは当然だろう?」と、新車をドライブできる喜びを語ったスマイリー。

「昨年は未知への一歩だったが、今季はチャンピオンとして参戦し、背中にターゲットがあることを知っている。非常に異なる感覚だが、それはエキサイティングでもあるね」

クリス・スマイリーが所属するリスタート・レーシングは、世界のどこよりも早くJASモータースポーツからのデリバリーを受け、今季デビューの新型『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』を実戦投入する
「新型マシンでレースをする最初のチームになったことを喜んでいる」とバート・テイラー代表
チャンピオンカーたるFK8型は、チームメイトのスコット・サンプトンが引き継ぐかたちで2023年を戦う

■ドニントンパークでは開幕前公式テストも開催。新規車両も姿を表す

「改めて、今季のタイトル防衛に向け真新しいホンダ・シビック・タイプRでレースをすることができてとてもうれしい。昨年来、イタリアのJASとは素晴らしい関係を築いてきたし、そして今、こうして華々しいニューモデルのレースデビューを任せられたのだからね!」

 おなじくチーム代表を務めるバート・テイラーも「新型マシンでレースをする最初のチームになったことを喜んでいる」と語った。

「昨年は素晴らしいシーズンを過ごすことができた。だからこそ、引き続きこのプロジェクトに真剣に取り組んでいると示すことを目指しており、スコット・サンプトンがクリスに加わって2台体制に拡充し、新型FL5シビックRの投入でJASモータースポーツと協力する最初のチームになれたんだ」

「すぐに新車を手に入れて、来週のシーズン開始に向け準備を整えることにも非常に興奮している。クリスは今回のメディア活動の後にもシェイクダウンを実施して、クルマを英国に持ち帰るべくスパ・フランコルシャンに直行する予定だ」

 その動きと並行するように、現地3月28日にはTCR UKの開幕前公式テストが実施され、ダンプ状態となったドニントンパークで各陣営のフォトシューティングを実施、都合15チーム、23台の車両が集った。

 そのなかにはFL5型と同様に今季より参戦を果たす新規車両もあり、アウディの第2世代RS3 LMSや、ヒョンデ・エラントラN TCRもイギリスに上陸。ただし、開幕直前まで最終決定を待つ土壇場のエントリーがいくつかあるため、最終的なエントリーリストはまだ発表されておらず、今後も参戦台数が増加することも見込まれている。

昨季最終戦でライバルのアイザック・スミス(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)を破り、初のシリーズチャンピオンに輝いた
タイトル争いの渦中から「発表された新型モデルにスイッチしたい」との願望を公にしていたスマイリー
TCR UKの開幕前公式テストには、ヒョンデ・ヴェロスターN TCRなど15チーム、23台の車両が集った

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