福井題材の卒業研究で早稲田大学の最高賞 坂井市の内田建さん、「小野梓記念賞」受賞

卒業式で表彰状とメダルを受け取り、地方創生への思いを話す内田建さん=3月26日、東京都新宿区の早稲田大早稲田キャンパス

 首都圏の福井県出身学生でつくるグループ「OCHOKIN(おちょきん)」の代表を務め、早稲田大学人間科学部を3月卒業した内田建さん(23)=坂井市出身=が、古里を題材にした卒業研究で同大の学生対象の賞として最も権威ある「2022年度小野梓記念賞」を受賞した。

 研究は「『持続可能な福井』に資する暮らしの可視化」。国勢調査などのデータを基に、独自のモデルで推計した県内の世帯年収の分布や、自分が住む市町に就業・通学している人の分布など、県民の暮らしや社会・経済状況が分かる「社会地図」を作成した。

 同賞は学術、芸術、スポーツの3部門で優れた成果を挙げた学生、大学院生が対象。内田さんは、首都圏に限られていた社会地図による分析を地方に適用した点などが評価され、22年度に11人が受賞した学術賞に選ばれた。「地方創生は感覚的に取り組まれることも多い。施策立案に役立つエビデンスデータをつくりたかった。行政や事業主の人に見てもらえたら」と内田さん。

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 おちょきんは3年生のとき、1、2年で学んだ地方創生を実践したいと加入し、すぐ代表に就いた。新型コロナウイルスの影響で制約は多かったものの、首都圏の福井県出身の財界人らと語る会を運営するなどし、「福井の人と東京でつながることができた」と成果を実感している。

 4月からは都内の広告代理店で、データ分析を通した企業や行政への提案に携わる。「いつか地元に戻り、データに基づいた地域活性化のプレーヤーになれたら」と意欲を見せた。

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