芦原温泉駅「アフレア」出店、三丹に優先交渉権 福井地裁が他社との契約禁じる決定

福井県あわら市がJR芦原温泉駅西口に整備した「アフレア」。中央の1階部分が業者入居予定の飲食・物販スペース=3月30日、福井県あわら市春宮1丁目

 北陸新幹線の福井県内開業に向け、福井県あわら市がJR芦原温泉駅西口に整備したにぎわい施設「アフレア」を巡り、出店契約協議を打ち切られたすし・弁当製造販売の三丹本店(同市二面3丁目)が、優先交渉権があるとして市に対し他社と契約を結ばないことなどを求めた仮処分申し立てについて、福井地裁(上杉英司裁判長)は3月30日、三丹側の主張を認め、他社との出店に向けた協議や契約を禁じる決定をした。

 同市の森之嗣市長は決定を受け、「市の主張が認められず残念。決定内容を精査し、顧問弁護士と相談の上、議会と協議し対応を決定したい」とのコメントを出した。4月4日の市会全員協議会で今後の方針を示す見通し。

 福井市内で記者会見した三丹の久田恭司社長(61)は「アフレアは市民と観光客にとって一丁目一番地の大事な施設。誠意をもって速やかに市長と協議を進め、出店契約までこぎつけられればと切に思っている」と述べた。

 決定などによると、同社は昨年9月、工事の見直しなどを理由に市に補助金増額を申し入れたが拒否され、同11月に出店契約協議を打ち切られた。市側は、三丹側が補助金の増額を申し出た経緯や資金計画の内容などから「信頼関係を持って協議を継続できない」として、申し立ての却下を求めていた。

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 上杉裁判長は決定で、三丹がプロポーザル方式で出店者として選定され、市と覚書を交わしていることなどから、同社が主張する優先交渉権を認定。同社の資金計画などについても「最終的な出店契約を締結できる見込みは十分にある」とした。その上で、同社が出店に向けて既に少なくとも2千万円を投資しており、経済的損害の大きさは軽視できないと指摘。市が他社と交渉を進めることは「出店条件を整えられなかった企業として社会的経済的信用を損なう」とした。

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