“高齢ドライバー”「交通事故多い」イメージは誤解!? 事故発生率“もっとも高い”年齢層とは

昨年11月、千葉県富津市で当時18歳の少女が死亡事故を起こし「危険運転致死」の疑いで逮捕された事件について、3月20日に少女が千葉家庭裁判所へ送致されたと報道があった。少女は軽自動車を、制限速度から40km以上も上回る時速94km以上で走行させ、交差点で横転。同乗していた10代の男女3人が死亡した。

一般的に「事故を起こしやすいのは高齢者」というイメージを持っている人も多いかもしれないが、前出の事故のように、免許取得から間もない若者が加害者となる事故を見聞きする機会も少なくない。果たして年齢層によって“事故の起こしやすさ”に特徴はあるのだろうか。

交通事故を“もっとも起こしやすい”のは「若者」

警察庁が今年3月に公表した統計「令和4年中の交通事故の発生状況」で「原付以上運転者(第1当事者)(※1)の年齢層別交通事故件数」を見ると「20〜24歳」がもっとも多くなっている。

(※1)「原付以上運転者」は、自動車、自動二輪車および原動機付自転車の運転者。「第1当事者」は、最初に交通事故に関与した事故当事者のうちもっとも過失の重い者。

次いで多いのは「50〜54歳」「45〜49歳」。この年齢層については人口、免許保有者数ともに他の年齢層に比べて多く、相対的に事故件数も多くなっていると考えられる。

また、高齢者(65歳以上)を年齢層別に見ると「70〜74歳」は2万363件と全年齢層のうち4番目に多いが、75歳以上の事故件数はグッと少なくなっている。

警察庁「令和4年中の交通事故の発生状況」をもとに弁護士JP編集部が作成

人口は総務省統計局「人口推計」より2023年1月1日現在の概算値、免許保有者数は警察庁「令和4年中の交通事故の発生状況」より2022年12月末の数値

上表のように、各年齢層の人口や免許保有者数にはバラつきがある。そこで、同統計で「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数」を見ると、「16〜19歳」の事故件数が群を抜いて多くなっており、いわば事故を“もっとも起こしやすい”年齢層だということが分かる。

警察庁「令和4年中の交通事故の発生状況」をもとに弁護士JP編集部が作成

「死亡事故」に限定すると…?

では、死亡事故に限ったデータではどのような結果が出るのだろうか。

警察庁が3月に公表した統計「令和4年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」で「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別死亡事故件数」を見ると、「50〜54歳」がもっとも多くなっている。これは交通事故件数と同様に、人口や免許保有者数の相対的な多さが影響していると考えられる。

警察庁「令和4年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」をもとに弁護士JP編集部が作成

そこで、こちらも「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり死亡事故件数」を見てみると、「85歳以上」と「16~19歳」がほぼ同数という結果になっている。「80〜84歳」「75〜79歳」も、他の年代に比べると多くなっていることが分かる。

警察庁「令和4年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」をもとに弁護士JP編集部が作成

死亡事故は他の事故に比べて大きく報道される傾向にあり、これによって「事故を起こしやすいのは高齢者」というイメージにつながっている可能性もある。

統計上、交通事故の“起こしやすさ”でいえば、10代が圧倒的に多いという結果になっているが、いつ誰が事故の加害者・被害者になるかは分からない。

潜在意識に惑わされることなく、各々が自覚を持って交通安全に努める必要があるだろう。

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