長崎県議選 知事応援に感謝と批判「心強い」「中立で」

県議選候補の応援演説をする大石知事=1日、佐世保市内(写真は一部加工)

 大石賢吾知事が長崎県議選の応援演説に汗を流している。昨年2月の知事選で自らの陣営に付いた自民現職候補を中心に支援しており各候補は「心強い」などと感謝するが、それ以外の候補からは「(県政をチェックする)県議会とは緊張関係が必要。中立であるべきだ」と疑問の声も聞かれる。
 2日午後、長崎市中心部の鉄橋。大石氏は自民現職候補の“魅力”を熱っぽく語った。
 「長崎の未来を思い人生をささげようとしている●●さん(候補名)を県議会に押し上げてほしい。大石は●●さんと明るい長崎をつくりたい」
 続けてマイクを握った候補も「知事とともに新しい長崎県をつくっていく」と呼応。知事と2人で商店街を歩き有権者に笑顔をふりまいた。
 知事選で自民県連は新人だった大石氏を推薦したが、当時の現職を支援する議員が反発。保守分裂選挙となり、大石氏が僅差で初当選を果たした。今回の県議選で大石氏は知事選の際に自身を支援した議員らの応援演説に駆け回っている。
 支援を受けた候補たちは演説で「皆さんの意見を聞いて県政を進めようする知事の姿勢が大好き。大石県政を盛り上げていきたい」「大石知事は非常に志が高く、素晴らしい。将来日本のかじ取りをするような期待とセンスを持ったトップリーダー」などといずれも大石氏を持ち上げた。
 一方、支援を受けていない自民現職候補は取材に「知事は自分に近い勢力を増やしたいだけだろう。首長と議会は一定緊張関係が必要なのに」と批判。ある県職員OBも「各候補の地元にはさまざまな人がおり、地域特有の事情がある。(県民の代表である)知事が特定の候補に肩入れするのは望ましくない」と指摘する。
 大石氏の応援演説は選挙戦以外にも余波を起こしている。1日に佐世保市中心部で演説をしている時、近くの公共施設では同市制施行記念式典が開かれていた。市は大石氏も知事として招待したが、県職員が代理出席。地元の複数の自民関係者は「佐世保市を軽視している」と憤った。
 大石氏は取材に「(県と議会は)是々非々だが、(県政運営には)議会の協力も必要。連携できる候補者のところへ、要請を受けて応援に入っている」と説明。だが、ある候補は街頭演説の前に知事の側から「応援したいと連絡があった」と明かす。
 さらに大石氏は2日、知事選で当時の現職に付いた自民候補の選挙カーに上り、マイクを握った。自民県連関係者は「知事選で応援してくれた議員に恩返しをしていると思っていたが、どうなっているんだ」と困惑気味に話した。

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