「お母さんのところに旅立ったんだね」 原爆小頭症・茶和田武亜さんを追悼 母親の胎内で被爆

母親の胎内で被爆し、重い障害を負って生まれた原爆小頭症の男性が亡くなりました。支援者などが参列して、男性の葬儀が3日、営まれました。

茶和田武亜(ちゃわだ・たけつぐ)さん(77)の葬儀が3日、広島市で営まれました。茶和田さんとゆかりのあった人たち13人が参列しました。

茶和田さんは、妊娠3か月の母親が爆心地から2キロの山手町で被爆し、翌年、生まれました。原爆小頭症は、妊娠初期の胎児が大量の放射線を浴びることで引き起こされます。患者は「最も若い被爆者」と言われています。

脳と身体に障害のある茶和田さんは、4歳まで立つことができず、言葉を話し始めたのは6歳になってからでした。

糖尿病で腎臓の機能が悪化し、人工透析を続けていましたが、最近は立ち上がることもできなくなっていました。

原爆小頭症 故 茶和田武亜 さん(母親の墓で 2019年)
「思い出すよね、お母さんを。星にいるのかなと思って」

去年、「きのこ会」が開いた原爆小頭症患者の76歳を祝う誕生会には、入所していた施設からリモートで参加しました。

故 茶和田武亜 さん(2022年)
「親の墓に…」
― お母さんの墓に?
「行きたい」

茶和田さんは、1日の未明、搬送先の病院で低血糖昏睡のため、亡くなりました。77歳でした。

身寄りのない茶和田さんの葬儀は、原爆小頭症患者と家族の会「きのこ会」の会員や支援者によってとりおこなわれました。

「(大好きな甘いものを)いっぱい食べんさいよ」―。

原爆小頭症患者と家族の会 きのこ会 長岡義夫 会長
「(被爆による)差別から偏見から一身に受けてきた人ですから、がんばらなくていいんだけど、がんばってほしかった、生きていてほしいって気持ち。ご苦労さまっていうのと、お母さんのところに旅立ったんだねって」

茶和田さんは、母親と同じ墓に納められる予定です。

「きのこ会」の患者は、これで11人になりました。

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